必須の英語学習法!シャドーイングの効果と正しいやり方

2022年3月7日

ペラペラ

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時吉 秀弥

【監修】
時吉 秀弥

「英文法の鬼100則」(明日香出版社)著者
株式会社スタディーハッカーコンテンツ開発室シニアリサーチャー
神戸市外国語大学英米語学科卒。米国チューレン大学で国際政治を学ぶ。20年以上に渡って大学受験予備校で英語を教えた後、現職。東京言語研究所にて認知言語学、生成文法、日本語文法、音声学などを学び、2010年、同所で理論言語学賞を受賞。認知言語学に基づき英文法を解説するブログ「時吉秀弥の英文法最終回答」が、多くの英語学習者からの支持を集める。

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英語学習の効果的なトレーニング法としてシャドーイングがあります。英語が話せるようになるためには、相手の話す英語を聞き取る「リスニング力」が必要です。シャドーイングにはリスニング力を高める効果があります。

しかし、「正しいシャドーイングのやり方が分からない」「初心者でもシャドーイングは効果的?」と疑問に思う方も多いと思います。そこで、シャドーイングの効果とともに、正しいやり方と効果を高めるコツについて詳しく解説します。
最も効果的なシャドーイングの方法を実践して、あなたの英語力を最大限に伸ばしましょう。

シャドーイングとは

シャドーイングとは、英文を見ずに英語の音声を聞いて少し遅れて同じように口に出すトレーニングです。

以下がシャドーイングのイメージです。

音声 :The picture she painted is beautiful.

あなた:(0.5~1秒空けて)The picture she painted is beautiful.

シャドーイングの「shadow」は「尾行する」という意味ですから、必ず「少し遅れて」口に出すことが重要です。

実際の方法については、以下のシャドーイングの見本動画を参考にしてください。

シャドーイングの効果

シャドーイングはリスニング力を高めるのに効果的と言われていますが、それにはまずリスニングの仕組みを理解する必要があります。

以下、リスニングの仕組みについて詳しく説明します。

リスニングにはプロセスがある

リスニングには、大きく分けて2つのプロセスがあります。

  1. 音声知覚
  2. 意味理解

それぞれのプロセスについて説明します。

音を聞き取るプロセス→意味を理解するプロセス

まず第1プロセスでは、英語の音を聞き取って何という単語なのかを認識します。

そして音が聞き取れたら、英語の意味を理解する第2プロセスに移ります。このプロセスで必要なのが、単語や文法などのデータベースです。

以下はリスニングの仕組みを説明したものです。

リスニングの仕組み

例えば、「What are you doing?」という簡単な例文であれば、文字を見て意味を理解できる人がほとんどだと思います。しかし、リスニングとなると話は別です。

英語は前後の音がくっついたり、脱落してなくなってしまったり、まったく違う音に変化してしまったりと、学校で習ったような発音で話されることは少ないのが一般的です。

つまり「ワットアーユードゥイング?」ではなく「ワラユードゥイン?」と変化した音を聞いて「What are you doing?」と言っているのだなと分かるのがリスニングの第1プロセスと言えます。

さらに第2プロセスで意味を理解するには、「what・・・何」「you・・・あなた」などの単語、「what+be動詞+主語?」「be動詞+~ing」などの構文の知識が必須です。単語に意味があり、熟語に意味があるように、構文も独自の意味を持つひとまとまりの言葉のセットです。

ここでは「what+be動詞+主語+ing?」で「(主語)は何を?しているの?」という、まとまった意味を持ちます。単語ひとつひとつを組み合わせて考えるより、構文というセットを1つの単語のようなまとまりで捉える方が情報処理が早くなります。

これらの知識を使って初めて「What are you doing?」が「何してるの?」という意味なのだなとすばやく理解できます。

このように、英語の音を聞き取れて意味を理解できれば、例文のような短く簡単な文のリスニングはできるようになります。

シャドーイングがリスニング力アップに効果的な理由

リスニングの2つのプロセスのうち、シャドーイングによって鍛えられるのは第1プロセスの「音を聞き取る力」です。

「リスニングが苦手」といっても、人によってどのプロセスでつまずいているのかは違います。シャドーイングは、英語の音を聞き取る段階でつまずいてしまっている人に効果的な学習法と言えます。

以下は、シャドーイングがリスニング力アップに効果的な理由です。

  • 聞き取れていない英語が分かる
  • 正しい発音・アクセント・イントネーションが身につく
  • 英語独特の音の変化(リエゾン)パターンが分かる

以下で詳しく説明します。

聞き取れていない英語が分かる

シャドーイングを行うことで、自分が聞き取れていない英語が分かります。

さらに、自分の聞き取れなかった部分を確認することで以下のことが分かります。

  • そもそも単語を知らない
  • 知っている単語だが実際の発音に慣れていない
  • 英語独特の音の変化に慣れていない

知らない単語であれば覚える必要がありますし、発音に慣れていないのであればシャドーイングで正しく発音を真似して慣れる必要があります。

自分で口に出せる音=聞き取れる音です。自分で口に出せる音が増えることで、英語を聞き取る力が上がります。

正しい発音・アクセント・イントネーションが身につく

知っている単語だが実際の発音に慣れていない場合は、シャドーイングで正しい発音やアクセント、イントネーションを覚えることができます。

例えば、「general」が「ジェネラル」という発音だと認識していれば、実際の音声を聞いても「general」だと聞き取れません。実際の発音では「ジェナラァゥ」と聞こえるからです。

英語独特の音の変化(リエゾン)パターンが分かる

前述のように、英語には前後の音がくっついたり、脱落してなくなってしまったり、まったく違う音に変化してしまったりする音の変化(リエゾン)があります。

これらの音の変化に慣れていない場合は、シャドーイングで音の変化のパターンを知ることができます。

シャドーイングのやり方

ここでは、シャドーイングのやり方について詳しく説明します。

シャドーイングをするには基礎力が必要

前述のように、シャドーイングは英語のリスニング力を上げる効果的な学習法ですが、いざ実践となると非常に難しいです。

シャドーイングができないのは、テニス初心者がいきなり試合に出ても何もできないのと同じです。わけが分からないうちに試合が終わってしまった・・・ということにならないよう、「試合の中で何が起きるのか」を理解してから試合に臨みましょう。

英語の話に戻すと、「まずはシャドーイングで使う原稿を読んで、意味や発音がわからない単語や熟語は辞書で調べ、文に使われている構文や文法の仕組みをきちんと理解して、どんな組み立ての文がそこにあるのかを理解し、さらにそれを軽く音読してからシャドーイングに臨む」のが、スムーズなシャドーイング練習に入るために必要な準備だということです。「精読→音読→シャドーイング」の順序です。

しかし、精読に時間がかかりすぎるようでは効率が悪いので、あまり難しい文章でシャドーイングは行わず、自分の実力よりも一段下の英語の文章で行うのがおすすめです。

発音や意味の確認には、以下のような辞書アプリを活用すると良いでしょう。簡易的なものではなく、きちんとした辞書を持つことをおすすめします。

ウィズダム英和・和英辞典 2

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文法の確認や勉強におすすめの本を二冊紹介します

ロイヤル英文法―徹底例解

英文法のルールにはどのようなものがあるのかを調べるにはこちらがおすすめです。

 

 

英文法の鬼100則

英文法のルールが「なぜそうなるのか」を理解したければこちらがおすすめです。

 

 

準備を終えたら、実際のシャドーイングに入る前に、以下の「もうひと手間」を加えるとさらに良いでしょう。

1.リピーティングから始める

いきなりシャドーイングからスタートするより、まずリピーティングからスタートする方が無理なく進められます。

リピーティングとは、英語の音声を聞いたらいったん音を止めて繰り返して口に出すトレーニングです。

英語初心者の方は、以下のように1フレーズごとに区切って繰り返す方法から始めると良いでしょう。英文は見ないで口に出すことが重要です。

Yumi finished making breakfast ten minutes ago.
Yumi finished making breakfast /ten minutes ago.

音声 :Yumi finished making breakfast(音を止める)
あなた:Yumi finished making breakfast(口に出す)
音声 :ten minutes ago.(音を止める)
あなた:ten minutes ago.(口に出す)

2.英文を見ずに音声を聴く

リピーティングを繰り返しスムーズに口に出せるようになったら、次は途中で音を止めず、まずは音声だけを2~3回繰り返して聴きます。

3.聞き取った音を英語で書いてみる(ディクテーション)

聞き取りが苦手な方は、ここでディクテーションを行うと良いでしょう。

ディクテーションとは英文を見ないで音声だけを聞いてその英文を書く学習法です。

ディクテーションをすることで、自分が聞き取れなかった部分の発音や音の変化が分かります。

4.オーバーラッピング

ここでついにシャドーイングと行きたいところですが、初心者の人はその前にオーバーラッピングというトレーニングを取り入れると良いでしょう。

オーバーラッピングとは、英文を見ながら音声にあわせて口に出すトレーニングです。

以下がオーバーラッピングのイメージです。

音声 :The picture which she painted is beautiful.

あなた:The picture which she painted is beautiful.

シャドーイングが「少し遅れて」口に出すのに対し、音声にあわせて口に出すのがポイントです。

しかし、初心者がいきなりネイティブの話すスピードについていくのは至難の業です。まずは、再生スピードを遅くしてトレーニングをスタートし、徐々にスピードを上げていくと良いでしょう。

シャドーイングのコツ

オーバーラッピングがスムーズにできるようになったらいよいよシャドーイングに移ります。

シャドーイングの効果を高めるには、以下のコツをおさえて実践することが重要です。

リピーティング→オーバーラッピング→シャドーイング

前述のように、シャドーイングのトレーニングをしていない人がいきなりシャドーイングに取り組むのは難しいです。無理をして適当な発音のままシャドーイングをしても決して効果はありませんので、段階を踏んでトレーニングを進めていきましょう。

まずはリピーティングから始め、スムーズに繰り返して言えるようになったら、オーバーラッピングに進みましょう。

そして、オーバーラッピングがスムーズにできるようになったらシャドーイングに進みましょう。

意味を理解して練習する

シャドーイングでは、意味を理解しながら口に出すことが重要です。

「リスニングの仕組み」でも説明したように、リスニングができるようになるプロセスは、第1に音声知覚、第2に意味理解です。音を聞き取るだけではリスニング全体の力は上がらないため、意味を理解しながらシャドーイングを行い、意味理解の力も鍛えるようにしましょう。

学習しやすい教材を選ぶ

シャドーイングは継続することで効果が出ますので、決して無理をせず自分が学習を続けられそうな教材を選ぶことが重要です。

シャドーイング初心者の教材選びのポイントは以下の通りです。

  • 英語学習者用に作られている
  • 中学生レベルの会話文
  • 20~30秒の短いもの
  • 内容に興味が持てる

リスニングを短期間で伸ばすなら「シャドテン」がおすすめ

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シャドテンとは、英語学習のコンサルサービス「プログリット」が提供する、シャドーイングに特化した添削サービスです。

リスニングが苦手な原因に科学的なアプローチで改善する

前述したとおり、リスニングには【音声知覚】【意味理解】という2つのプロセスがあることが第二言語習得研究で解明されています。

シャドテンでは、第二言語習得研究を理解した英語のプロがあなたのコーチとなり、毎日30分のトレーニングをサポートし、詳しく添削してくれます。

教材選びも学習の継続もコーチにお任せ

プロのコーチが正確なレベルチェックを行い、230本以上の豊富な音声教材から一人一人のレベルやニーズに合った音声教材を選んでくれます。

また、コーチは英語のプロだけでなくコーチングのプロでもあります。二人三脚でトレーニングをサポートしてくれるので、学習が継続できることはもちろん、トレーニングが歯磨きのように習慣化されます。

やり取りはLINEを使うのでオンラインで完結

シャドーイング音声の録音、送信はスマホアプリのLINEで完結するのでとても簡単です。コーチからの添削もLINEで返信がくるので通学も不要です。

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おススメのシャドーイング教材

ここでは、英語のレベル別におススメのシャドーイング教材を紹介します。

初級(TOEIC~600点)

決定版英語シャドーイング超入門

シャドーイング初心者向けに、シャドーイングの前段階の勉強法から丁寧に記載されています。ゆっくりしたスピードの短い会話から旅行や電話で使う定番のフレーズなど、非常に簡単な例文なので無理なく取り組めます。

 

VOA

Voice of Americaというサイトの略で、アメリカ国営放送局のニュースサイトです。VOAには、通常のサイトとは別に、英語を第二言語として学んでいる人向けのニュースサイトがあります。易しい文章で書かれたニュースを通常よりもゆっくりとしたスピードで読み上げているので、シャドーイング初心者にオススメの教材です。

VOA

https://learningenglish.voanews.com/

中級(TOEIC600~800点)

決定版英語シャドーイング

レベル別に3段階に分けた19本のトレーニングが用意されています。スロースピードのモノローグ、会話文、ニュース、プレゼン研修の実況中継、スピーチなど多彩な素材で学習することができます。

 

BBC 6 Minute ENGLISH

イギリスの公共放送局BBCが英語学習者向けに配信している「BBC英語講座」の人気コンテンツ。ただのニュース教材ではなく、6分間の映像を見て英語を聞き取り、映像についての質問に答えるクイズ形式なので取り組みやすいでしょう。

BBC

BBC 6 Minute ENGLISH

上級(TOEIC800点~)

英語シャドーイング映画スター編

映画スターのインタビューを集めたシャドーイング教材。英語学習者用に向けて話している素材ではないため、正確な聞き取りはかなり難しく英語上級者向けです。付属のCDには、「ナチュラルスピード」「スピードを遅くしたもの」「ナレーターが吹き替えたもの」の3種類が収録されています。

 

まとめ

シャドーイングは、英語の音を聞き取る力を上げる効果的な学習法ですが、正しいやり方で継続することが何よりも重要です。

まずは、シャドーイングをするために必要な英語の基礎力を身につけ、自分の英語レベルにあわせた方法で進めていきましょう。

決して簡単なトレーニングではありませんが、自分が無理なく学習できる教材を選び段階を踏んで行うことで学習を継続できます。

この記事を参考に、自分にあった正しいシャドーイングの方法を是非見つけてください。

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