shallは、特にアメリカでは特定の場面で良く使われる助動詞です。使用範囲はそれほど広くないものの、表現できる意味自体は多いので他助動詞の意味としっかり区別しながら覚えておくと便利です。
今回の記事では、そんな助動詞shallの意味や使い方について詳しく解説していきます。記事後半では、使用の際の注意点や語源、類語も学べる内容です。
今一度、基礎に立ち返って助動詞の意味も確認したいという方はぜひチェックしてみてください。
shallの意味
助動詞shallには、大きく分けて7つの意味が存在します。それぞれの意味について、以下から早速確認していきましょう。
きっと~します
最初にご紹介するのは、助動詞shallの「きっと~します」の意味です。この意味は、主語がI、すなわち「私」の場合の強い義務や意志を表します。
例えば、「私はあなたの親切を決して忘れません」、「私はあの日のことを決して忘れません」などの表現に活用可能です。
~に~させよう
主語がyouやhe、sheなど二人称・三人称になる場合、助動詞shallは「(主語に)~させよう」という話し手の強い意志を表します。
例えば、「彼にすぐに行かせます」、「あなたにタダであげよう」などがこのshallの意味を使った文章です。ただ、現代ではこの意味を表す場合は、shallを使用するのではなくI’ll、もしくはYou can…などの形で表現する方が一般的です。
~せよ
助動詞shallが法令などに使われる場合、「~せよ」と禁止または命令の意味を表します。この意味は契約書や何等か取り決めについて規定する文書内で良く使われます。
例えば、「公的記録は機密にせよ」、「この書類内の文字等を変更してはならない」などの形でこの意味を活用できます。
~しましょうか?
Let’sから始まる文章を付加疑問文にする形で「Let’s…, shall we?」と使用する際、shallは「~しましょうか?」の意味を表します。ただ、この言い回しはかなりフォーマルで丁寧な勧誘です。
例えば、「公園にでも行きましょうか?」、「お茶でも飲みましょうか?」などの形で使えます。
~するでしょう
助動詞shallには主語の意志は含まず、単に「~するでしょう」と未来を表す意味もあります。ただ、この意味はアメリカの口語での会話では現代ほとんど耳にすることはなく、イギリス英語では現代でも使われているそうです。
例えば、「来週私は50歳を迎えます」、「来月彼は日本に行きます」などの表現が可能です。
必ず~するだろう
助動詞shallを形式的な文章で使用すると、予測や予言、運命を表す「必ず~するだろう」という意味も表せます。
例えば「私は必ず帰ってくるだろう」、「全ての人は死ぬだろう」などの形で活用可能です。
~しましょうか?
最後にご紹介するのが、相手の意向や希望を尋ねる「~しましょうか?」のshallの意味です。控えめなニュアンスで相手に自分から何かを申し出る際に重宝します。
例えば、「学校まで車で迎えに行こうか?」、「後で電話しようか?」などの文章を作ることができます。
ただ、現代ではこの意味で伝える場合は「Do you want me…?」や「Would you like me…?」とした方がより一般的です。
shallの発音・読み方
それではここから、shallの発音と読み方を確認していきましょう。
shallの発音記号
発音記号にすると、shallは「ʃæ’l」と表記されます。
shallの発音・読み方
shallの発音・読み方は、日本語で「シャル」となります。
最初の「ʃə」の部分は、まず「ʃ」を唇を丸く前に突き出し、舌先を上の歯茎に付けて「シュ」と息だけで出します。「ə」はあまり大きく口を開けない状態で弱く曖昧に「ア」と出します。これらを続けると、「シャ」の音になります。
「l」は舌先を前歯のすぐ裏の歯茎に付け、その状態から舌の両側から音を出すような意識で「ル」と出します。
特にʃやlの音は日本語の音とはかけ離れているため、正しい音に近づくには何度も練習が必要です。ぜひ上記のポイントを押さえて練習を重ねてみてください。
shallの使い方と例文
ここまで、shallのそれぞれの意味と発音のポイントをお伝えしてきました。以下からは、まずshallの使い方を学ぶさいのポイントのまとめと具体的な例文をご紹介していきます。
使い方が分かるようで分からない、そんな助動詞の代表格でもあるshallのより具体的な使い方を学びたい方はぜひ読み進めてみましょう。
shallの使い方
先の意味の解説部分でも示したように、助動詞shallは文ごとの主語や文の形態、そして使用のシチュエーションごとに表す意味が変わるおもしろい単語です。
そのため、この特徴を逆手に取ってただ単にそれぞれの意味だけを覚えるのではなく、それぞれの文の主語、文の形やシチュエーションをしっかり意味と繋げながら使い方を整理していくと効率的でしょう。
少し時間がかかる作業ではありますが、こうすることでそれぞれの意味を混同してしまって結局使い方が分からないという事態を避けることができます。
shallの例文
それでは早速以下から、助動詞shallのそれぞれの意味を活用した具体的な例文をいくつかご紹介していきます。
単語はその形と意味のみを暗記するより、例文の形で暗記した方が記憶にも残りやすいためおすすめです。
自分だったらどんな形でそれぞれの例文を活用するかな?という視点を持ってチェックしてみてください。
shallを使った例文①
最初にご紹介するのは、助動詞shallの「きっと~します」の意味を活用した例文です。例文のように主語がIの時のみ、主語の強い意志・義務を表します。
例文の意味は「私はあの日のことを決して忘れません」です。助動詞shallが無い文に比べて「あの日のことを決して忘れないぞ」という主語の強い意志が伝わってきます。
会話文例
(わぁ。それはやばいね!)
(うん。あの日のことを決して忘れないよ。)
shallを使った例文②
次にご紹介するのは、主語がyouやhe、sheなど二人称・三人称になる場合の助動詞shallの意味、「(主語に)~させよう」という意味を活用した例文です。例文の意味は「彼にすぐ行かせます」となります。
この意味の場合話し手の強い意志が表れますが、先述の通り現代では普通、同じ意味でI’ll や You can…の形を使用します。
会話文例
(息子さんはどちらに?)
(すみません。着替えをしてるところだと思うんですが。すぐに行かせます。)
shallを使った例文③
助動詞shallが法令などに使われる場合、この例文のように「~せよ」と禁止または命令の意味をすことができます。
例文の意味は、「公的記録は機密にせよ」となります。契約書や何らかの公式文書などで使われることが多い意味のため、日本語にすると文末表現がかなり強くなるのがポイントです。
会話文例
(「公的記録は機密にせよ」って書いてあるよ。)
(本当?何で読み飛ばしちゃったのかしら!)
shallを使った例文④
次にご紹介するのは、Let’sから始まる文章を付加疑問文にする目的で「Let’s…, shall we?」と使用する際のshallの意味「~しましょうか?」を活用した例文です
例文の意味は、「お茶でも飲みましょうか?」となります。
この言い回しはかなり丁寧でフォーマルなのであまり一般的ではありませんが、希に耳にすることもあります。
会話文例
(お茶でも飲みましょうか?)
(いいですね。)
shallを使った例文⑤
「来週私は50歳を迎えます」という意味を表すこの例文は、助動詞shallの主語の意志は含まず、単に「~するでしょう」と未来を表す意味を活用したものです。
ただ、先述の通りこの意味でのshallの使用は、特にアメリカの口語での会話では現代ほとんど耳にすることはなく、イギリス英語では現代でも使われています。
会話文例
(来週私は50歳を迎えます。)
(それは知らなかった!お祝いしないとね!)
shallを使った例文⑥
次にご紹介するのは、助動詞shallを形式的な文章で使用した際の予測や予言、運命を表す「必ず~するだろう」という意味を活用した例文です。
例文の意味は、「私は必ず帰ってくるだろう」となります。物語や映画などの登場人物のセリフなどで登場することがあります。
会話文例
(私は必ず帰ってくるだろう。)
(また君に会えるのを楽しみにしているよ。)
shallを使った例文⑦
最後にご紹介するのは、相手の意向や希望を尋ねる「~しましょうか?」のshallの意味を活用した例文です。例文の意味は、「学校まで車で迎えに行こうか?」となります。
控えめなニュアンスで相手に自分から何かを申し出る際に重宝する表現ですが、先述した通り現代ではこの意味で伝える場合は「Do you want me…?」や「Would you like me…?」と表現する方が一般的です。
会話文例
(学校まで車で迎えに行こうか?)
(いや、今日は大丈夫だよ。ありがとう。)
shallを使う際の注意点
あなたも相手を誘う表現の一つとして「Shall we…?」という表現を聞いたことがあるでしょう。同じく勧誘表現に「Let’s…」がありますが、両者は微妙なニュアンスの違いがあるため注意が必要です。
以下から、この点について詳しく解説していきます。
違いは「積極性」と「相手の意向を伺う気遣い」
「Shall we…?」を使って相手に何かを誘う場合、「良かったら~しませんか?」と相手の意向を伺って気遣う丁寧さがニュアンスに表れます。これに対して「Let’s…」には相手の意向を伺う意味はなく、とにかくこちらから積極性を持って「~しましょうよ」と誘うニュアンスです。
日本語の場合、言葉上であhあまりニュアンスの差が出ないことが多いですが、英語では上記の例のように微妙なニュアンスの差をそれぞれ別の表現で伝えるということがほとんどです。
ぜひ参考にしてみてください。
shallの語源
英語の語源を学ぶと、その単語への更なる理解や興味にも繋がります。以下から、shallの語源について一緒に学んでいきましょう。
shallの語源は古英語の「sceal」
shallの語源は、古英語の「sceal」とされています。この語源には「私・彼は~負っている、~しなければならない、~すべき」などの意味がありました。
語源の形や意味の両方が現代のshallと重なる部分が多くあるのがとても興味深いですね。
shallと意味が似ている単語
ここまで、shallのそれぞれの意味と使い方、具体的な例文と発音・使用の際の注意点、語源について詳しく解説してきました。
最後に、この単語と意味が似ている単語、いわゆる類語をいくつかご紹介していきます。英語を話す際の表現の幅を拡げるという意味でも、類語を積極的に覚えて使っていくのはとてもおすすめです。
余裕のある方は、ぜひ以下の内容も実際の会話に応用してみてください。
be about to
最初にご紹介するのは、「まさに~しようとする」の意味を表す「be about to」です。助動詞shallの「きっと~します」の意味の類語と捉えることができます。
be about toを使った会話文例
(あらこんにちは!会社をちょうど出ようとしてるとこだったよ。)
(間に合って良かった!ちょっと君に伝えたいことがあるんだ。)
must
次にご紹介するのは、「~しなければならない」など義務の意味を表す助動詞「must」です。助動詞shallの「~せよ」の意味の類語として活用できます。
mustを使った会話文例
(必ず明日の朝宿題を提出することね。)
(そうします、リー先生。)
will
最後にご紹介するのは、助動詞で「~しようと思う、~するつもりである」などの意味を表す「will」です。助動詞shallの「きっと~します」とほぼ同じ意味で使用できます。
will を使った会話文例
(明日のパーティーに君も来たい?)
(いいね。行くよ。)
まとめ
いかがでしたか?他の助動詞と比べるとその使用範囲は限られるものの、それぞれの意味を大体把握しておくと便利な助動詞がshallです。
ぜひあなたもこの記事の内容を参考に、色々な場面で活用してみてください。
リー 木嶋 実有紀
「英語を使って自分の視野をもっと広げたい!」との思いから、国際関係や異文化理解を学べる学科に進み、カナダの大学に一年間留学。日本で約4年間、公立小学校で英語を教える傍ら、個人英会話教室でも英語を教える。アメリカ人の夫との結婚を機に2014年に渡米。アメリカ・日本にお住いの方に英語レッスンを行う。英語学習歴は15年以上、教授歴は10年。「今からでもすぐに使える、実践的な内容」をお届けします。
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