助動詞willの過去形として知られるwouldですが、その意味や使い方が分かりにくいと感じる方が多いのではないでしょうか。
そんな日本人の感覚では分かりにくいwouldの意味や使い方ですが、実はネイティブの会話間では非常によく使用されます。
この記事では、そんなwouldの意味や使い方について具体的な例文を交えて詳しく解説していきます。
日々の会話の中で、もっとwouldを自然に使いこなしたい!という方は、ぜひ参考にしてみてください。
wouldの意味
今回取り上げるwouldには、大別すると
- 仮定法ではない形で使用する際の意味
- 仮定法で使用する際の意味
の2つがあります。
この2つの中に、更に個別に異なる意味がそれぞれ7~9個ほど存在します。以下から、その中でも覚えておくと実際の会話に活用しやすい、頻出度の高いものを厳選してお伝えします。
単純未来:~であろう
wouldを単純未来の意味で使用する場合、「~であろう」という意味を表します。主に過去形の文章内の間接話法で用います。
例えば、「彼は自分の妻の病気がすぐ治るだろうと信じた」、「その時点で私は明日は晴れるだろうと思った」などの文章内、「治るだろう」、「晴れるだろう」の部分でwouldを使用します。
wouldという、willの過去形の形を取りながら、過去の時点から見た未来について表現する際に使用するというのがポイントです。
意志未来:~しよう
wouldは、意志未来を表す言葉として、「~しよう」という意味も持ちます。この場合も先の単純未来と同じく、過去形の文章内、間接話法で用います。
例を挙げると、「彼女はもう一度それをやろうと心に決めた」、「私は必ずリベンジすると誓った」などの例文内、「それをやろうと」、「リベンジすると」の部分にwouldを配置します。
過去の意志・主張・拒絶:どうしても~しようとした
wouldには、過去の意志・主張・拒絶を表す「どうしても~しようとした」という意味があります。肯定文で使用すると過去の意志・主張、否定文では過去の拒絶を表します。
例えば、「彼らはどうしてもその契約を押し通そうとした」、「彼女はどうしてもその質問に答えるのを拒絶した」内、「押し通そうとした」、「どうしても拒絶した」にwould、もしくはwould notを使用します。
過去の習慣・動作などの反復についての回想:~したものだった
wouldには過去の習慣・動作などが繰り返し行われたことに対する回想を表す意味として、「~したものだった」という意味もあります。
ポイントは、昔を懐かしく思う気持ちが伴い、時間軸が現在ではなく、完全に過去にあることです。
似た意味を表す表現に「used to」がありますが、こちらには過去を回想する気持ちはなく、時間軸はあくまで現在、事実として「今と違う現実が過去あった」ことを伝えたい場合に使用します。
wouldを過去の反復についての回想に使用する場合、例えば「彼女はそこに何もしないで座っていたものだった」、「彼が来るとその犬は嬉しそうにしたものだった」内の「座っていたものだった」、「嬉しそうにしたものだった」の部分にwouldを使います。
話し手の過去についての推測:~だったろう
wouldには、話し手の過去についての憶測を表す、「~だったろう」の意味も存在します。
例えば、「その時彼は30代くらいだったのだろう」、「彼女は非常に緊張していたのであろう」などの文章内、「30代くらいだったのだろう」、「緊張していたのであろう」の部分にwouldを使用します。
無意識の仮定:~するだろう
仮定法内にて無意識の仮定の意味でwouldを使用する場合、「~するだろう」という意味になります。
「無意識の」とは、すなわち、話者の意識のコントロールが及ばないような状況下でと解釈するとよいでしょう。自分が意識できない範囲下で起こりうる事象に対して、仮の話をしたい場合に使用します。
例えば、「もし車がそれに衝突したら、多くの人が怪我をすることになるだろう」という文章内、「怪我をすることになるだろう」の部分でwouldを活用します。
意志の仮定:~するつもりなのだが
仮定法では、意志の仮定の意味「~するつもりなのだが」という意味でwouldを使用することもできます。
先に挙げた無意識の仮定とは逆に、自分の意志である程度コントロールできる事象に対して、仮の話をする場合に使用します。
例えば、「もしお金が十分にあれば、それを買うのだが」内、「それを買うのだが」の部分にwouldを挿入します。
婉曲表現:~であろう、~でしょう
wouldには、婉曲表現として「~であろう、~でしょう」という意味もあります。条件節を伴う文章内で、条件節内の内容を婉曲的に表現する場合に使用します。
例えば、「こんな晴れた日に家にいるなんてもったいないでしょう」、「彼がそんなことをするなんて何とみじめなことでしょう」内、「もったいないでしょう」、「みじめなことでしょう」の部分でwouldを使います。
話し手の意見・感情の婉曲表現:~したいと思う、~させてもらいたい
話し手の意見・感情に着目した婉曲表現、「~したいと思う、~させてもらいたい」という意味もwouldで表せます。
例えば、「今すぐそこに伺いたいのですが」、「明日電話をさせてもらいたいのですが」などの文章内、「伺いたいのですが」、「電話をさせてもらいたいのですが」の部分でこの意味のwouldを活用します。
特にこの使い方は、日常生活やビジネスの場面で相手に丁寧にお願いをする場面でよく使われます。
丁寧な依頼や勧誘:~してくださいませんか、~しませんか
wouldには、丁寧な依頼・勧誘を表す「~してくださいませんか、~しませんか」の意味もあります。
先に挙げた話し手の意見・感情の婉曲表現としての意味に並び、この意味での使用も頻出です。
例えば、「そのグラスをこちらに頂けませんか?」、「荷物を運ぶのを手伝ってくださいませんか?」内、「頂けませんか?」、「手伝ってくださいませんか?」の部分でwouldを使用します。
強い願望・選択:~したいと思う
最後にご紹介するのは、wouldの強い願望・選択を表す「~したいと思う」です。この表現は、主に書き言葉として使用されるのが一般的です。
例えば、「この議会は地域活性化を望む市民で成り立っている」などの文章内、「地域活性化を望む」の部分にwouldを使用します。
主に書き言葉で使用するという特徴から、この意味でのwouldの使用はビジネスなど公的な場での使用が多くなると言えます。
wouldの発音・読み方
それでは以下から、wouldの発音と読み方を確認していきましょう。
wouldの発音記号
発音記号にすると、wouldは「wəd」と表記されます。
wouldの発音・読み方
wouldの発音・読み方は、日本語で「ゥワァッドゥ」となります。
最初の「wə」の部分は、唇を丸く前に突きし小さく「ゥ」と発音した後、日本語の「ワ」の音を意識しながら「ゥワ」の音にします。
この音に、口をあまり開けずに弱く曖昧な音を意識して「ァ」と発音した音を合わせると、「ゥワァ」の音になります。
次に、「d」の部分は」、舌の先を前歯のすぐ裏の歯茎につけ、息を一瞬止めてから勢いよく「ドゥ」と発音します。
特にw,d の音は日本語にはない音なので、何度も繰り返し練習してみてください。
wouldの使い方と例文
ここまで、数あるwouldの意味の中から汎用度の高い厳選したものの意味と、発音のポイントについてご紹介してきました。
以下から、まずはwouldの使い方を理解する際のポイントと、実際の例文について詳しくまとめていきます。
より具体的な場面でwouldを活用していきたいという方は、ぜひチェックしてみましょう。
wouldの使い方
wouldは、その意味ごとに整理し、日常生活でよく使われる順に使い方をマスターしていくのがおすすめです。
今回は、まず相手に自分の意見や感情を上手く伝える際によく用いられる婉曲表現、次に単純・意志未来表現、最後に過去の意志・主張・拒絶、過去の習慣などに対する回想を表す例文をご紹介します。
wouldの例文
それでは早速、以下からそれぞれの意味ごとに具体的な例文をご紹介していきます。
新しく学んだ単語を、そのまま単独の形でスペルと意味だけ暗記するという方法は、非効率と言えます。
自分でこの言葉を活用するなら、どんな場面で使うだろう?とより具体的な視点を持って、下記例文の理解を深めてみてください。
wouldを使った例文①
最初にご紹介するのは、相手に丁寧に自分の要求を伝える際によく使われる、「I’d like to」を用いた例文です。「I’d」は、「I would」の省略形です。
この例文は、「もし迷惑でなければ今日、ご自宅にお伺いしたいと思っているのですが」という意味を表します。
このI’d like toを使った婉曲表現は、初対面の相手やまだ関係が深まっていない第三者に向けて活用できる便利な表現です。この機会にぜひ使い方をマスターしておきましょう。
会話文例
(直接会ってそれについてお話した方が良いですかね?)
(はい、そう思います。もしご迷惑でなければ今日、ご自宅にお伺いしたいと思っているのですが。)
wouldを使った例文②
次にご紹介するのは、丁寧な依頼や勧誘を意味する「Would you」を使用した例文です。意味は、「私がこの荷物を運ぶのを手伝っていただけませんか?」となります。
例文のように、初対面の相手やまだ関係の深まっていない第三者に対して、丁寧に何かを依頼するシーンで使用できます。
I’d like toの表現と同様、覚えておくと感じ良く相手に何かを依頼することが可能になります。ぜひこちらもマスターしましょう。
会話文例
(弊社の配送アクセス局にてご自身の荷物を持ち込みいただけますよ。)
(そうですか。この荷物を運ぶのを手伝っていただけませんか?)
wouldを使った例文③
単純未来の意味を使ったこの例文は、「彼は自分の妻がすぐに良くなるだろうと信じていた」という意味になります。
例文のように、過去のある時点で誰かが未来に対して「~だろう」と予測を立てたような場合に使用します。
会話文例
(なぜ彼は彼女を病院に連れていかなかったんだい?)
(彼は自分の妻がすぐに良くなるだろうと信じていたのさ。でも彼は間違っていた。)
wouldを使った例文④
次にご紹介するのは、単純意志の意味のwouldを含む例文です。意味は、「私はそれをもう一度試そうと心に決めていた」となります。
例文のように、過去のある時点で話し手が「~しよう」と意志を発したことを表す際に使用します。
会話文例
(ぁ!君は本当に諦めなかったんだねぇ!)
(そうよ、だって諦めたくなかったんだもの。もう一度試そうって決めていたの。)
wouldを使った例文⑤
次にご紹介するのは、過去の拒絶の意味を表す「wouldn’t」を含む例文です。意味は、「彼女は私が聞いたどの質問にも答えようとしなかった」となります。
この例文のように、wouldn’tを用いると過去の時点での主語の強い拒絶を表します。
会話文例
(ちゃんと彼女にそれについて聞いてみた?)
(もちろん聞いたよ!彼女は私が聞いたどの質問にも答えようとしなかったんだ。)
wouldを使った例文⑥
最後にご紹介するのは、過去の習慣についての回想の意味を表すwouldを用いた例文です。意味は、「私の祖父は、何もせずそこに何時間も座っていたものです」となります。
このように、過去何度か習慣的に繰り返されたことに対して、懐かしい気持ちを持って語る際に用います。
会話文例
(彼がまだご存命の間はどんな様子だったのでしょう?)
(私の祖父は、何もせずそこに何時間も座っていたものです。)
wouldを使う際の注意点
wouldを使う際に注意したいのは、willとの微妙なニュアンスの違いです。特に、wouldを「~だろう」という意味で使用する場合、willを使用する場合とどんなニュアンスの違いがあるの?と疑問に思う方も多いでしょう。
以下から、上記の点について詳しく解説していきます。
willとの確信度の違い
結論から言うと、「~だろう」という単純未来の意味でwouldを使用する場合、物事に対する話者の確信度が下がります。wouldを使用する場合、ほとんど推定的な言い方となります。
例えば、「明日は雨になるでしょう」という文章を「It would rain tomorrow.」とした場合、確信度はおよそ50%かそれ以下、「It will rain tomorrow.」とした場合は、80%かそれ以上となります。
注意なのは、日本語に訳した場合、文字上ではどちらも同じ表現になってしまう点です。英語では、その物事に対する確信度によって上記のようにそれぞれの助動詞を使い分ける必要があります。
自分が英文を作る際に、必ず相手にどの程度の確信度を持ってそれを伝えたいのか?を明確にし、適切な助動詞を選ぶように意識してみてください。
wouldの語源
英単語の語源を知ることは、その単語への更なる深い理解に繋がります。以下から、wouldの語源について学んでいきましょう。
wouldの語源は古英語の「wolde」
wouldの語源は、古英語の「wolde」とされています。この言葉は、現代使用されている「will」の語源でもある「willan」の過去形・仮定法過去の形として使用されていました。
現代でも、wouldはwillの過去形として使用されています。意味は時代の変遷と共に複数に派生しましたが、基本的にはその形・言葉の持つコアな意味も、元の語源から離れていないと言えるでしょう。
wouldと意味が似ている単語
ここまで、wouldの意味や使い方、使用の際の注意点などについて詳しくまとめてきました。最後に、wouldと意味が似ている単語、いわゆる類語をご紹介します。
実は、厳密な意味でwouldの類語と呼べる単語は、助動詞のwillのみです。そのため、類語を複数持つ他の英単語に比べ、記憶しやすくかつ、活用しやすいと言えます。
語彙力に幅を持たせるという意味でも、新たな単語と一緒にその類語も覚えるという方法は、大変効率が良いためおすすめです。
早速以下から、類語willの具体的な例文を参考にその意味や使い方の理解を深めてみてください。
will
wouldの類語であるwillには、wouldと同じく、単純未来、意志未来、推測、反復・習慣行為などの意味があります。
それぞれの意味は「~だろう」、「~するともりだ」、「~となるだろう」、「よく~する」などで、wouldと同じく、文意に合わせてその意味を判断します。
willはwouldの現在形と考えるとよいので、現在という時間軸から見た未来について表現する際に使用します。
下記に、willを使った代表的な例文をいくつかご紹介しておきます。具体的な例文を通して、ぜひそれぞれのwillの意味や使い方を深めてみましょう。
willの単純未来の意味をを使った会話文例
(天気が晴れて明日そこで楽しい時間が過ごせると良いですよね。)
(私もそれを願います。)
willの意志未来の意味を使った文例
(ちょっと車を動かして頂けませんかね?)
(それならそうしましょう。)
willの推測の意味を使った会話文例
(ドアに誰がいるの?)
(私が正しければ、それはアリスでしょう。)
willの反復・習慣の意味を使った会話文例
(彼はよく夜遅くまで起きてゲームをするんですよ。)
(私の息子も同じです。)
まとめ
今回の記事では、willの過去形としても知られる助動詞のwouldについて詳しくご紹介してきました。
wouldには複数の意味があり、日本人の感覚ではなかなか理解しづらい単語だと言えます。しかし、それぞれの意味ごとに上手く切り分けながら理解していくと、意外とすっきり整理できます。
ネイティブ間との会話でも頻出の言葉ですので、ぜひ記事内容を参考に色んな場面で活用してみてください。
リー 木嶋 実有紀
「英語を使って自分の視野をもっと広げたい!」との思いから、国際関係や異文化理解を学べる学科に進み、カナダの大学に一年間留学。日本で約4年間、公立小学校で英語を教える傍ら、個人英会話教室でも英語を教える。アメリカ人の夫との結婚を機に2014年に渡米。アメリカ・日本にお住いの方に英語レッスンを行う。英語学習歴は15年以上、教授歴は10年。「今からでもすぐに使える、実践的な内容」をお届けします。
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