ペラペラ部編集部のティナです。英語講師歴15年の現役英語講師にインタビューを行いました。
インタビューを受けて下さったのは、公立小中学校で子供向けに英語を教えると同時に、外務省・経産省の職員さんに対し世界に通用するビジネス英語の講師も務める、アメリカ人のケビン・ジョーンズ先生です。
長い講師経験を持つジョーンズ先生に、日本の英語教育の問題点、日本人に向いている英語学習法といったことをたっぷり聞いてきました!
アメリカ・ワシントン州シアトル出身41歳。大学卒業後、ワシントン州にあるベルビュー大学で日本人留学生に英語を教え、講師としてのキャリアをスタート。日本の歴史を愛するあまり26歳の時に来日。日本でも英語講師となる。現在は日本の公立小学校・中学校での英語講師と並行し、外務省・経済産業省ではビジネス英語の講師としても活躍。
ジョーンズ先生について
——日本に来られたのは何年前ですか?
15年前だよ。2003年の10月にね。はじめは日本に遊びに来る目的だったけど、いるうちに楽しくなって「あ、これ多分アメリカ帰らないかな」って思ってそのまま住んだんだよ(笑)
——小・中学校で英語を教えていらっしゃいますが、英語を教えるようになったきっかけはなんですか?
小学校4年生の時の担任に憧れて先生になりたいと思うようになったかな。担任は、私の可能性を探す手助けをしてくれ、形成してくれたんだ。あれから私は、いろんな人が穏やかな方法で勉強するのを助けるために、将来担任のようになることを夢見ているんだ。
中学校になってから少しだけバスケ選手になりたいとも思ったけど、大学の時にやっぱり先生になりたいと思ったんだ。それで当時から日本の歴史にすごく興味があったから、日本人に英語を教える仕事がしたいと考えたね。
——ジョーンズ先生が日本語を習得したとき、どんな学習をして、どのくらいのペースで自習しましたか?
毎日1時間~2時間はしたよ。はじめは「わたしは、すしが好きです」みたいな簡単な日本語を覚えるところからはじめて徐々に自分の好きな日本の歴史についても勉強したよ。あとはね、日本に来た時に「JPLT(日本語能力試験)」を受けたかったからその試験勉強もしたかな。ちなみ今は3級持ってるよ。
——ジョーンズ先生の趣味は何ですか?
私は日本の歴史について調べるのが好きなんだ。最近は明治から昭和の歴史について勉強したよ!ちなみに好きな歴史上の人物は坂本龍馬。彼は本当にかっこいい。永遠のヒーローだと思うよ。
日本の英語教育について
——日本の義務教育における英語教育について、率直な感想を聞かせてください。
他の国に比べて日本は英語の勉強を始めるのが遅いね。今年から(※インタビューは2018年)英語の授業を始める学年が小学校3年生になったから、もう少しよくなると思う。
——日本では小学校3年生から英語を学び始め、大学を卒業するまでと考えると14年間英語を学びます。しかし、話せる人は多くありません。その原因はなんだと思いますか?
日本の英語のテストは穴埋め問題が多い。勉強の仕方が暗記になってるから話せない人多いよね。話す練習も必要だし、もっと自分のクリエイションが必要だと思うよ。
自分の興味のあるものに関連づける勉強法はオススメ
——実際問題として、学校の授業だけで英語が話せるようにならないことは事実としてあります。では、英語が話せるようになるためには、授業以外でどのような学習やトレーニングをすれば良いと思いますか?
自分の興味のあるものに関連づける勉強法はオススメだよ。例えば好きな映画を字幕なしでみたり、スノーボードが好きだったら外国のスノーボード雑誌を読んだりね。これを何回も何回も続けることで、レベルアップはできる。自分の興味のあるものだったら楽しいから続けやすいよ。
——英語の上達が早い人で、性格や取り組み方、学習の姿勢など、共通する特徴はありますか?
みんな自分のペースやスキルポイントがあるよ。リーディングから勉強して上達する人もいれば、リスニングから勉強して上達する人もいる。でも日本人で上達が早い人で多いのは、リーディングから始める人かな。
やっぱり自分のセルフスタディが必要。
——大人になってから「やっぱり英語が話したい」と思う人も多いです。しかし、学生時代に学んだ英語はもう忘れている。そんな人がまずやるべき学習はなんですか?
まずは、目的が必要だね。そして目的を明確化させること。例えば、TOEICのスコアを上げたい人は集中的にTOEICの勉強をするでしょ?話したいという人も一緒。何について話したいのかを具体的にさせてまずはそれを集中的に勉強するところから始めれば、その後もどんどん話したい内容の幅が広がっていくよ。
英会話スクールにはいるのもいいけど、やっぱり自分のセルフスタディが必要だね。
——英語習得のためには、「聞く」「話す」「読む」「書く」の4つの技能が必要だと言われていますが、ただ英語を話せるようになりたいという人でもこの4つの技能を総合的に身につける必要はありますか?
もちろん全部話すために必要だよ。この4技能の偏ることなくバランスを平均的に身につけることが大事。話す練習は聞く能力を向上させるし、書く練習は読む能力を向上させるからどのスキルも「話す」ために必要な要素なんだよ。
英語の学習方法について
——英語が話せるようになるために、「外国人の恋人を作る」「洋画を字幕で見る」など、英語学習以外におすすめの方法はありますか?
英語で日記をつけるのがおすすめだよ。覚えた単語をとにかく自分で使いこなせるようにする。アウトプットしていくことが大事だよ。私も日本語の勉強をしたとき、わからない単語があったらすぐに調べて、それを使って自分の文章を作るようにしたんだ。その時も日本語で日記を書くようにして、覚えた単語を使うようにしたんだ。
——ジョーンズ先生は、外務省や経済産業省の職員にも英語を教えていらっしゃいますが、ビジネス英語が日常英語と違う点はどのようなところですか?
日常英会話とほとんどかわらないけど、大きな違いといったら「敬語」かな。外国ではあまり敬語はないけど、ビジネス英語ではEメールのフォーマルな書き方があったり、wouldとcouldを場面によって使い分けることもあるんだ。
大事なのは覚えた文法や単語をどの場面でも使えるようにすること
——日本の多くの企業では、採用条件、昇進や昇格などのためにTOEICのスコアを要件としていますが、高得点を取得しても実際に話せるようになった人は少ないとよく聞きます。その原因は何だと思いますか?
TOEICの勉強は「話す」練習をしないのが原因だよ。文法や単語を完璧に覚えたとしても、それを自分が使えるようにしなければそれはタダのテストのための勉強なんだ。大事なのは覚えた文法や単語をどの場面でも使えるようにすることだよ。
——仕事などで急に英語が必要になった「英語初心者」が、ビジネス英会話を身につけために初めにやるべき学習はなんですか?
まずはやっぱり基礎を勉強した上で、日常英会話からスタートして徐々に難しいのにチャレンジした方が一番身につくよ。
日本の英会話スクール事情について
——日本には数多くの英会話スクールがあります。その多くは週に1回40~60分程度、外国人講師と英語で話すというものです。この学習内容と量で、英語が話せるようになると思いますか?
話せるようにはならないよ。英会話スクールの講師は、「話せるようになる」ためにサポートをしてくれるだけだから結局は自分の力が必要だよ。例えばバスケを1週間に1回40分だけ練習しても上手くならないでしょ?それと一緒なの。
——最近では、「英語学習のコンサルティングサービス」というものが注目されています。一般的なスクールのように外国人講師と会話をするのではなく、バイリンガルのコンサルタントが第2言語習得理論をベースとした科学的な英語のトレーニング法を教えてくれるサービスです。このようなサービスについてどう思われますか?
働くビジネスマンにとっては良いサービスだと思う。会社から言われてやらなきゃいけないという状況ならね。でもただ英語を勉強したいという人にとってはモチベーションは持たないと思うよ。
英語を身につけたいと思っている日本人へ一言
——最後に、英語を身につけたいと思っている日本人に対して一言メッセージをお願いします。
コミュニケーションに完璧は必要はない。
私は英語を教える身だけど、日本語は完璧ではない。でも、こうやってインタビューしていて、私の言っていることはなんとなく理解できるでしょ?(笑)間違ってもいいから自信を持って一生懸命伝えようとすることが大事なんだ。初心者であれば、英語に繋がる喜びを、中級者なら今以上の英語スキルがあればどんなことができるかとか、とにかく楽しみながら英語を勉強するのが一番レベルアップできるベストウェイだよ。
インタビュアー:岡田ティナ
インタビュー場所:CHERRY BURGER(立川市)
ライター(詳しいプロフィールを見る)
10歳までをフィリピンで過ごした英語と日本語のバイリンガル。優れた英会話力を活かし、初心者が抱く英語の疑問を解消する「ペラペラ英語塾」の記事を担当。また、英会話スクールやオンライン英会話、英会話カフェ等を体験してのレビュー記事も担当しており、体験したサービスの数は30以上を数える。
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