Bizmates(ビズメイツ)とは?最高品質責任者の伊藤日加様にインタビュー

2021年5月21日

ペラペラ

伊藤 日加
カナダ生まれの日系カナダ人。1996年、英語教師としてベルリッツ・ジャパンに入社。その後、同社4校における主任教師として、教師の採用およびマネジメント・品質管理を担当し、4年連続エクセレントパフォーマンス賞を受賞。2008年より本社商品開発マネージャーとして、世界のベルリッツで使用されているビジネス向け教材・企業向けカスタマイズ教材の開発を行う。また企業向けのセミナー講師も担当。2012年6月同社を退社。同年7月にビズメイツ株式会社を設立。取締役 Chief Quality Officer(最高品質責任者)に就任。

ビズネスに特化したオンライン英会話として多くのビジネスパーソンから支持されるBizmates(ビズメイツ)。

しかし、サービスのミッションは「ビジネス英語を教える」ことではなく、「グローバルで活躍できる人材を育てる」ことだと言います。

ビズメイツの考える「ビジネス英語」とはなにか?
グローバルで活躍できる人材になるために必要な、英語でのコミュニケーションとはどのようなものなのか?

ビズメイツ株式会社取締役で、最高品質責任者の伊藤 日加(いとう ひか)様にインタビューをしてきました。

ビジネス英語とはなにか?

——ビジネス英語とはどんな英語なのでしょうか?

「ビジネス英語」という言葉自体が、私は正しいと思っていません。ビジネス英語というと、「プロフェッショナルの難しい英語」というイメージがあるのですが、ビジネスにも様々な業種や職種があります。

例えば営業用の英語とITエンジニアの英語では全然違います。それらをひとくくりに「ビジネス英語」と言うのは少し違うと思っています。

そこで私は、仕事で必要な英語を「English for work(仕事のための英語)」と呼んでいます。

——ビジネス英語が日常英語とで決定的に違っている点はどこでしょうか?

仕事で使うビジネス英語はだんだんカジュアルになってきていて、日常英語とのオーバーラップが出てきています。そのため「違いがよくわからない」と言われるのですが、一番大きな違いは『シチュエーション』です。

例えばお客さまとのネゴシエーションやプレゼンなど、ビジネスにおいては日常生活にないシチュエーションが多くあります。そしてビジネスのシチュエーションにはビジネスプロフェッショナルとしての「リスク」や「責任感」が存在します。

プロフェッショナルとしてコミュニケーションを取らなければいけないなかで、「正確に話さなければならないというプレッシャー」や「失敗した時のリスク」がビジネスには存在します。

つまり、使用する文法や単語が違うというより、シチュエーションとリスクと責任感というのが日常英語との一番大きいな違いだと思います。

——ビジネス英語と日常英語では、使用する単語や文法に違いはないのでしょうか?

例えばITエンジニアが普段の仕事で使う単語は日常で使う単語とは違います。そういう意味で違いはもちろんあります。

また、様々なシチュエーションがある中で、取引先企業の役員に対してなど、フォーマルのプレゼンテーションの場合はある程度フォーマルな文章や単語も使いますし、そういう違いはあります。

ビズメイツのサービスについて

——ビズメイツでは文法や語彙といった①英語の能力(LANGUAGE)に加えて、②コミュニケーションスキル③リーダーシップ、④ダイバーシティー、⑤パーソナリティを重視されていますが、②~④を重視される理由を教えてください。

まず②の「コミュニケーションスキル」についてですが、弊社は「英語を学ぶ」や「仕事で使う英語を学ぶ」ということを最終目的にしておらず、「グローバルで活躍できる人材を育てる」というのが最大のミッションです。

ネイティブスピーカーが全員ビジネスで成功するわけではないように、ただ英語をうまく話せるだけでは成功に繋がらないと考えています。

もちろん英語力は非常に重要で、文法力・単語力・スピーキング・リスニングは指導します。しかしコミュニケーションというのは、その英語をどれだけ有効に使うかというスキルが重要です。

そして③の「リーダーシップ」というのは、よくマネージャーやエグゼクティブとしての部下やチームの統率力などと勘違いされるのですが、そうではありません。

海外でのビジネスでは、現地情報は限られていたり、行ってみたら想定と違うことも多いです。日本国内のように頼れるコネクションもない、誰に聞いていいのかわからないという状況に直面した際、自分がリーダーシップ・INITIATIVE(主導権)・Proactive(積極的)に動かないと、物事が進まないのです。

法律も知らない、アカウンティングルールも知らないという状況において「リーダーシップ」はどのレベルの人でも必要なのです。

次が④の「ダイバーシティ」、オープンマインドです。様々な国の人とビジネスをする中では、相手との文化の違いを把握しておけば良いと思いがちですが、それだけでは不十分です。

様々なバックグラウンド、年齢、性別の違いに加えて、LGBTの存在など色々変わってきている中で、オープンマインドを持って様々な考えを持っている人達と一緒に働ける「マインドセット」が非常に重要だと思っています。

そして最後が⑤「パーソナリティ」です。結局ビジネスというのは「Personal」、人と人で成立するものです。良い性格になれば良いというわけではなくて、自分の本当のパーソナリティ、つまり人柄を出せなければいけません。

日本人ビジネスマンでよくあるのが、日本語では普通にあらゆる配慮をして話せるのに、英語になった途端に別人のように萎縮してしまい、感謝や謝罪の気持ちをなかなか相手に伝えられないということがあります。「パーソナリティ」という部分はビジネスの成功に最も繋がると考えています。

ビズメイツのすべての教材には、この5つの考えが含まれていますし、講師のトレーニングでもこの5つは重要視しています。

インタビューに応じる伊藤日加様

——海外でビジネスパーソンとして働くにあたり、例えば「こういうようなシチュエーションがあるんだよ」というようなエピソードがあれば教えてください。

海外でうまくいかずに帰ってくるのは大抵転勤される方ですね。原因は英語力が足りなくて帰ってくるというのはほとんどなく、文化の違いや仕事の進め方の違いです。上司の立場の方であれば、自分はこういうふうに言ったつもりがパワハラになってしまったりとか。それがダイバーシティなんです。

日本の価値観で、日本のやり方でやろうとすることはなかなかグローバルでは伝わりません。ですからダイバーシティと言うのは海外で仕事をするのにとても重要なポイントです。

日本は98%が日本人ですが、この5年、10年で多くの海外の方がインバウンド・ビジネスで来日し、特に都心部や観光地では、外を歩けば外国の方がいっぱいいます。弊社でも社員の20%は外国の方で、みなさん日本語はペラペラです。
しかし、言葉は通じるのですが考え方が違うためミスコミュニケーションが起こります

「日本だからこのやり方」ではなくて、「いろんなやり方があるんだな」というオープンマインドを持つことが大切です。日本人だけの会社の中でも、歳の違いで文化も全然違うとか、女性の管理職増加ですとか、DIVERCITY、オープンマインドはとても重要だと思っています。

——お話を聞いていると「ただ英語を学ぶ」という感覚ではない気がします。

その通りです。今の世の中には英語を学ぶための様々なツールがあります。アプリ、e-ラーニング、最近ですとコミットメント型のメソッドもあります。ただ、それらだけで解決出来ない課題があります。

これだけ語学分野のサービスやツールは進化しているのに、ビジネスパーソンが英語を学ぶという障壁はまだ解決されていません。問題の本質は、英語を学ぶにはどのテクニック、どのツール、どのメソッドということではなく、英語に対しての「考え方・視点」を変えていくというのが非常に重要になってくるんです。

ビズメイツのサービスでは、「グローバルビジネスとは何か」、「英語で仕事するということは何か」といった、考え方・視点を変えていくことが最終的な目的です。

——マインドなど感覚的なところと言うのは、レッスンをしていく中で徐々に変わってくるとおっしゃっていましたが、どれくらいの期間で変化が出てくるものなのでしょうか?

ビズメイツのプログラムを受ける中で、自然にこの5つが身につくという訳ではなく、実際に経験して仕事をして失敗と成功のステップを踏んでいく中で、だんだん「あ!そういうことなんだ」と気付くものはいっぱいあります。

ビズメイツのプログラムはレベル分けがされています。レベル1(中学文法をまず思い出す)の初心者の方に「オープンマインドだよ!DIVERCITYだよ!」といってもピンとこないと思いますので、レベル1の初心者の方は基本的なビジネスで使う簡単な英語から取り組んでいきます。単語、スピーキング、リスニングなどです。

そしてレベル2から「SIMPLE(シンプル)」「POLITE(丁寧)」「EFFECTIVE(効果的)」なコミュニケーション方法を学び、レベル3になってくると、「リーダーシップ」や「プレゼンテーション」といったスキルフォーカスになってきます。

レベル4になってくるとかなりの上級者なのですが、「DIVERCITY」にフォーカスして、ビジネスの場で意識すべき文化の違い、歳の違い、男性と女性の違い、仕事の違いといった内容にも取り組んでいきます。

——伊藤様は大手英会話スクールでの講師経験もありますが、ビズメイツのプログラムは一般的な英会話スクールと異なるのでしょうか?

弊社もスクール同様にプレゼンテーションコースやミーティングコースというのはありますが、コンセプトは結構違っています。

私も23年間この業界にいますが、一般のビジネス教材のプレゼンテーションの場合、「自分の仕事ではこんなプレゼンテーションはやらない」というように、自分のシチュエーションに合わないものが非常に多いんです。しかし、全てのシチュエーションに共通していることがあり、それが「コミュニケーションスタイル」です。

弊社では難しい単語イディオムなどはあまり重視しておらず、「SIMPLE(シンプル)」「POLITE(丁寧)」「EFFECTIVE(効果的)」が基本的なコミュニケーションのコンセプトです。
どれだけわかりやすく相手に伝えられるか、ただしビジネスだから丁寧に伝える、そして効果的である。どんな仕事でも、誰とコミュニケーションをとるときでも同じです。

多くのスクールが「ビジネス英語を学ぼう」としているのに対し、ビズメイツは「グローバルで活躍するための英語を学ぶ」という考え方です。この2つでは考え方が全然違います。考え方が違うと教え方も違いますし、テストも違うし、メソッドも違うし、内容も違います。

ただ「ビジネス英語を学ぼう」という考え方だと、どうしても「きちんとした文法や単語力」のほうにフォーカスしてくるんです。「ビジネスパーソンはビジネス英語を話すのが目的だっけ?」となってしまうのですが、そうではないんです。「グローバルで活躍すること」が目的で、そこの目的を間違えると全部ブレてしまいます。

面白いことに、「グローバルで活躍する英語」と言うのは、英語を学ぶよりよっぽど簡単なことなんです。例えば「a」と「the」の違いを理解するとか、「in・on・for・at」の正しい使い方とか、TOEICで900点をとるなんてことは、かなり高い文法力を必要とするそれらのほうがよっぽど難しいことです。

「グローバルで活躍すること」が目的であれば、「自分の会社のことを効果的に有効的に説明できなければならない」「商品をよく見せなければならない」。こういったことはすでに自分が知っている内容で、それを英語にするだけなのでよっぽど簡単なんです。

インタビューに応じる伊藤日加様

——英語初心者の方で、「いきなりビジネスコースは難しそうだから、まずは日常英会話コースから始めよう」と考える人は多いと思うのですが、目的がビジネスなのであれば初めからビジネスコースを受けるべきでしょうか?

「とりあえずビジネス英語ができないから日常英語から入ろう」という人はいるのですが、その考え自体が私は間違っていると思っています。

違うスクールに通っていた人で、「ビジネスコースまでたどり着かなかったな」と、そこでやめてしまう人をたくさん見てきています。

——英語初心者の方でもビズメイツを受講されているケースはありますか?

ビズメイツのレベルは5段階ありますが、受講者の半分くらいがレベル1です。ビズメイツには動画レッスンが全部で1,500レッスンくらいありますが、レベル1の初心者向け動画レッスンでは日本語で教えています。
動画は講師とのレッスン前に見て、今日のポイントを予習するためのものですが、初心者の方は日本語で理解してもらった方が上達は早いです。そして講師とのレッスンでは日本語で考えず英語に集中してもらいます。

よくあるのが、日本人の講師が日本語で教えながら英語でなにかをやるケースです。目の前で日本語で理解して「はい英語で言ってみてください」と言われると「あっ、ちょっと待って」となってしまうんです。
そして先生は日本語が話せますから、甘えが出てきて日本語に頼ってしまう。これは間違ったやり方です。使っている脳が違いますので、理解は英語で良いのですが、アウトプットは英語でやるように分けた方が効果的です。

もう一つ動画レッスンの話をさせていただくと、他のスクールなどでは教材や宿題が色々ありますが、ビズメイツはありません。教材を開けて自分で勉強するというのは、多忙なビジネスパーソンはなかなか一定期間以上続かないんです。

ですので、教材や宿題の代わりに、レッスン前に5分の動画を見て、今日のポイントは何かを理解してから25分のレッスンを受けてもらいます。予習していなければ、「Tell me about your company.」と聞かれて「えーっと…」ってやっているうちに25分のレッスンが終わってしまいます。
「今日は会社のことを聞かれる」
「商品のことを聞かれる」
といったことをある程度先に予習しておくことで、効果的にレッスンを受けられます。ビジネスパーソンにぴったりの勉強法です。

——ビズメイツでは毎日レッスンが受けられるシステムになっていますが、あえて「毎日」できるようにしている理由はあるのですか?

私は、最初にオンライン英会話というサービスが世に出た時に「すごい!」と思いました。当時は1ヶ月4~5千円という金額で毎日レッスンが受けられるというモデルが主流でした。これであれば確実に習慣化して日本の皆さんの英語力が上がるだろうと思いました。

e-ラーニングやアプリでの学習はすぐにやめてしまう人が多いですが、オンライン英会話は実際に講師とレッスンをやるのでモチベーション続くと思っていました。でも、やらない人はやらないんです。離脱率はe-ラーニングやアプリよりも低いのですが、「英語に触れたい」と思わない人は続かないんです。

英語学習のプログラムで一番重要なのは、「英語をやりたい」と思うようにマインドチェンジする、視点を変えるということで、それらがプログラムの中に含まれていなければ意味がないと思っています。

ビジネスパーソンは、「これからグローバルだから英語を学びなさい」「TOEICで〇〇点以上取らないと昇進できない」と言われて「勉強をやらされる」人のほうが圧倒的に多いんです。
そういう人は「やれる」「やりたい」「本当にうまくなる」と思っていない、英語学習のスタートラインに立ってないんです。プログラムの中でそのマインドを変えていくことがものすごく重要です。

——「英語をやりたい」とマインドを変えていくためにビズメイツではどんなことをされているのですか?

マインドを変えるには何が必要かというと、

  • Control
  • Flexible
  • Active

の3つのステップです。この3つのステップを踏んだら確実に変わります。

「Control」と言うのは「決まった時間に毎日受けてください」というように決まった時間に受けてもらう。
例えば、「月曜から金曜日、毎日この先生のレッスンを受けてください」というのがコントロールです。束縛感はあるかもしれませんが、習慣を作るために最初は必要なんです。

そしてそれを毎日毎日やると何が起こるかと言うと、今までできなかったことが「あれ、簡単じゃん!」「できるじゃん」というように自信に変わってくるんです。そして自信がついてきて、だんだん物足りなくなってくるんです。「これだけでいいの?」「簡単すぎるよね」と。

そうなってから「Flexible」ステージに入ります。Flexibleというのは”自由を与える”ということです。
自分がやらなければならないところ、自分の足りないと思っているところを集中してやってもらいます。そこで「プレゼンテーションもやらないと」「ミーティングも良くやるから受けてみよう」などのように、それぞれのテーマにフォーカスしていくんですね。

そしてそれをだんだんやっていき「次は何だろう?」と思ったときの最後の段階が、「Activeラーニング」です。Activeというのは積極的という意味です。Activeに自分から学んでいくと英語でコミュニケーションを取る楽しさが目的になります。

いろんな先生と打ち解けて、「私は生徒、あななたは先生」という関係を破って、同じレベルの人間としていろんなことについて話すコミュニケーションの楽しさを、そこで初めて理解する。それが「Active」なんです。
そうすると、「もっとやりたいです」「自分だったらできる」という気持ちになります。しかし、そこに到達するにはステップを踏む必要があります。

では、「英語をやりたい」と思うようにマインドチェンジする、視点を変えるためにはどうすれば良いか、ビズメイツでは最初のレッスンを受ける前に2分の動画が流れるのですが、マインドを変えるためのメッセージを伝えます。

その動画は先程私が言った「Control」「Flexible」「Active」というステップを踏むように作られています。誰かがガイダンスをしないと、なかなか自然にステップは踏めません。

その2分間の動画を始めた結果、会員の学習継続率が大幅に上がりました。今では学習の進捗に合わせて1年分の動画を用意しています。

インタビューに応じる伊藤日加様

——最近はコンサルタントによるコーチング型のスクールが人気ですが、そういったスクールでも学習を習慣化させるために様々な施策をされていて、面白いなと思いました。

コーチング型のスクールは素晴らしいサービスだと思います。「Control」ステージで確実に習慣化するために、コンサルタントの存在はすごく有効です。ただ、「Control」だけでなく「Active」まで持って行かなければ、成功とは言えません。

会社の英語研修でもあるのですが、「TOEICを100点あげなければ自腹で費用を払わないといけない」とプレッシャーをかけ、宿題をたくさんやらせて学習を習慣化してスコアを上げ「これは成功だ!」とするケースをよく見ます。

しかし、受講生は「やっと研修が終わった」「もうしばらく英語はいいや」と元の生活に戻るので、スコアも元に戻ります。これは行動を変えているだけで、視点を変えていないからです。行動を変えるだけだとまた戻ってしまいます。

視点を変えるには「Control」「Flexible」「Active」の3つのステップが重要です。そこまで到達するのは大変なのですが、それをやる必要があります。

——本当の意味で習慣化をしていくには、視点を変えないといけないんですね。

そういうことです。「Control」から「Flexible」に行く人は多いのですが、なかなか「Active」には行かないですね。「Active」まで行ければ、グローバルで活躍する場がものすごく出てきます。

——ビズメイツのプログラムは「TOEICのスコアを上げたい」という目的の方には向いていますか?

ビズメイツを受講される方は「グローバルで活躍する」という目的を持っていますが、TOEICによってその目的がブレてしまうことがあります。「英語を学ばなければいけない」→「TOEICで測る」→「英語の先生」→「英語の教材」と言うように、目的が「グローバルで活躍する」から違う方向に行ってしまいがちです。

そういった理由からビズメイツではTOEIC対策はやっていません。

——英語を身に付けていく上で、やはり自己学習は大切でしょうか?

最初は英語を勉強すること、「Study English」は大切です。しかし途中で「Study 」ではなくて「Live English」にしなければならないと思っています。「Active」ステージになると「英語を勉強する」のではなくて「英語で生きる」というマインドに変わります。

例えば英字新聞読むとき、「英語学習のためにやっている」というのは考えとして違っていて、「ニュースを知るために英字新聞を読む」のです。日本のニュースではなかなかアメリカやヨーロッパのニュースがありません。ビズメイツはヨーロッパとのビジネスも取り入れていますのですごく役立ちます。

ビズメイツで英語を学んで、英語で何かをするための行動「Live English」にどんどん取り組んでほしいですね。海外に行っていろんな人と話しても良いですし、外国人の方が困っていたら助けてあげるでも良いですし、英字新聞や映画を見ても良いですし、そういう機会を増やしてほしいです。

「単語1,000個が入っている本を買ったのですが、読まなくても良いですか?」と言われたらそれは違うと思います。語彙力があれば英語力が上がるというのは違います。

世界中でビジネスをやっている人達の7割はノンネイティブスピーカーなので、難しい英語を使う必要はありません。大切なのは「SIMPLE(シンプル)」「POLITE(丁寧)」「EFFECTIVE(効果的)」です。

——SoftBank孫さんの英語も発音はネイティブではありませんが、人の心を掴んでいるように思います。

そうなんです。おっしゃる通りです。私はよくセミナーをやるのですが、「どうすれば発音が良くなりますか?」という質問をされます。その時に「あなたの目的はなんですか?ネイティブのように話すことが目的ですか?ビジネスで使えるようになることですか?もしビジネスで使えるようになりたいのであれば、孫さんを見てください。彼は英語が上手ですよ」と答えています。

孫さんの発音はネイティブではありませんが、彼は全然気にしていないですよね。我々も気にしていない。グローバルで活躍するにはそこではないんです。

ただ、発音というテーマに関しては、インド英語・日本語英語・中国英語・フィリピン英語のように、いろんな国の発音を理解し、聞けるようになることが重要です。

トレーナーについて

——ビジネス英語を教える講師の方に必要なスキルは何だとお考えですか?

弊社の採用はティーチング経験のある英語の先生は探していません。ビジネスパーソンを探しています。

講師を採用する際に重視する点も、ビズメイツのサービスと同じく、「英語の能力(LANGUAGE)」、「コミュニケーションスキル」、「ダイバーシティ」、「リーダーシップ」、「パーソナリティ」です。

95%の講師はフィリピンの方で英語力は非常に高いのですが、英語が使えれば良いというわけではなく、「コミュニケーション力」がものすごく重要です。そして「リーダーシップ」。講師も自分から積極的に取り組まなければいけないというのが弊社のビジネスモデルです。

そして「ダイバーシティ」「オープンマインド」。エンジニア、経営者など様々な業界の色々なポジションの受講生を相手にするので、そういう人たちに合わせることがとても大切です。そしてコミュニケーションをベースとするサービスですので「パーソナリティ」も重要です。

教えるテクニックがあるから良い先生になるとは限りません。例えば、インドで現地の開発会社とネゴシエーションしないといけないというエンジニアの方の場合、どんな講師とのレッスンが役に立つかというと、実際にインドでビジネスをやっていたフィリピンの方か、インドのビジネスパーソンなんです。ですから弊社では、フィリピンの方は多いですが、インドやセルビアの方もいます。

——そうなると、色々な国や色々な文化の中でビジネス経験のある人を採用しているということでしょうか?

そうです。そうでないと弊社の教材も教えられないですし、弊社の受講者のニーズには合いません。

インタビューに応じる伊藤日加様

——受講生は希望の先生を選ぶようなシステムでしょうか?

そうです。今(※)1,200人ほどの講師がいますが、サイトに全員のプロファイル、実務経験、大学で学んだ項目といった情報や音声もあります。そして講師の検索機能もあります。

例えば「メディア」と打つとメディア関係で働いていた講師もいますので、学べることはたくさんあります。どんなに良い先生でも「この先生からでないと学べない」ものあります。

※インタビューを行ったのは2019年10月

——受講生の業種や職種からマッチする先生を選んだ方が良いのでしょうか?

例えば、来週インドでネゴシエーションをしなければいけないのであればそうしたほうが良いのですが、毎回そうというわけではないと思いますので、やはりフィーリングが合う人や、この先生の英語がわかりやすいというので選んでいただくのが良いと思います。

そして初心者の方は、決まった先生でレッスンを受けることをおすすめします。色々な先生のレッスンを受けるというのは初心者には難しいです。最初はなるべく同じ先生のレッスンを受け、自信がついてきてから違う先生を選んだほうが良いです。

Activeになったら毎回違う先生を選び、新しい経験として様々な人と会うのが自然に楽しくなってきます。

——講師の方を採用される際にはTOEIC〇〇点以上など、必須条件というものはないですか?

ありません。しかし、英語のテストは行います。ビズメイツでは毎週2~3千人の応募が来るのですが、2~3千人をフィルターする一つの方法として難易度の高いテストを行います。

そのテストで7割の方は不合格になり、残り3割の方と面接をし、トレーニングやファイナルテストを行い、最終的に採用するのは応募者の1%以下になります。

——講師の面接というのは実際に会って行うのでしょうか?

オンラインでやっています。そこで、講師候補のオンラインの環境が安定しているかもチェックします。

——実際に講師の方と対面することはないのですか?

年に数回パーティーを開催していて、そこに来る人とは対面します。受講生の方からも「実際に講師と会う場が欲しい」というありがたいリクエストがあるのですが、そのお気持ちはとてもわかります。

私も経験があるのですが、フィリピンに行って初めて講師の方に対面した時、数ヶ月間毎日のように話していた人を目の前にしたら、2人とも涙がでて、「意外と背が小さいんだね」などという映画みたいなやりとりがありました。

受講生の方にも体験してほしいと考え、今はフィリピンに実際に行く「ビズメイツXsプログラム」も提供しています。3日間フィリピンに行き、これまで学んできたスキルをどこまで使えるか、実際にチャレンジしてもらうプログラムです。

フィリピンの講師とチームを組み、設定されたテーマに対して、実際に街へ出て様々な調査をして企画書を作り、それをプレゼンしてもらいます。ミーティング、プレゼン、ネゴシエーションなど、リアルなビジネス経験を体験できる内容です。

このプログラムを作った背景としては、受講生が講師と会う場が欲しいというのももちろんありますが、ビジネスで活躍するためのスキルは学校だけでは学べない、経験を積まなければならないからです。

「いつか英語が必要」というだけではなかなかモチベーションもキープできません。「ビズメイツXsプログラム」に行く前と帰った後では、視点が「Active Learning」に変わっています。

プログラムについて

——ビズメイツで提供されている4つのプログラムについて教えてください。

弊社では

  • Bizmates Program
  • Other Program
  • Assist Lesson
  • Discovery

の4つのプログラムがあります。

「Bizmates Program」は一歩一歩着実にビジネス英語の基礎を作っていく講座です。初心者であれば文法からですとか、上級者は文法やコミュニケーションスキルをやっていくというものです。

レッスンは500個あるのですが、ただ受けていては飽きてきますので、「Other Program」と言って「異文化コミュニケーション」、「プレゼンテーション」、「ミーティング」、「電話会議」、「出張英語」、「E-mailライティング」など、自分に必要なスキルを学べるオプションタイトルが40個ほどあります。

「Assist Lesson」はフレキシブルなレッスンで、自分が仕事で困ったとき、例えば「今度インドでネゴシエーションをするんだけどどうやって話せば良いか教えてください」「こんなメールが来たんですが、どうやって返せば良いのか教えてください」といったことに「Flexible」に対応するレッスンです。

そして「Discovery」というのは、少しビジネスから離れて、一般教養のテーマでディスカッションができます。例えば、宇宙の星についてですとか家族の大切さといったテーマについて、講師が自分の経験、気持ち、アイデアを元にコラムにし、教材化しています。

例えばサラ先生が自分の家族観について書いたコラムを読んで感じるものがあれば、サラ先生を予約してもらい、ディスカッションしてもらいます。「Bizmates Program」や「Assist Lesson」はあくまでもレッスンであり、講師と生徒という関係です。しかし「Discovery」は人と人との会話ですので、本来のコミュニケーションの楽しさを理解してもらえます。

——例えば、来週海外出張でプレゼンをする予定があるという方であれば、「今週はAssist Lesson」というふうにレッスンをカスタマイズすることは出来るのでしょうか?

はい出来ます。多くの英会話スクールでは「あなたはこのレベルだからこの教材です」と言われ、ずっとその教材をやっていきますが、そうではありません。

——レッスンはマンツーマンですが、英語初心者の方ですと、スピードや使う単語・文法といったものも初心者レベルに合わせてくれるのでしょうか?

そうですね。最初のレッスンが「I」「You」「He」「She」「I am a business man.」「You are an engineer.」と言ったレベルです。最初の40レッスンは簡単な文法で中学校レベルから始めます。中学校レベルの英語を忘れてしまっている方もいますが、日本語の動画がありますので初心者でも安心して受けられます。

——「ビジネス特化」と聞くと、ビズメイツは英語初心者には難しいというイメージがありましたが、全くそんなことはないんですね。

全くそういうことはないです。ビジネスのための英語は英語を学ぶより簡単なことなのです。

インタビューに応じる伊藤日加様

教材について

——在籍講師が1,200人いらっしゃるとのことですが、講師によってレッスンのクオリティにバラつきはありませんか?

私は大手英会話スクールで長年英語講師をしていました。自分で言うのもなんですが、とても人気があり高い評価を得ていました。

私が何をしていたかというと、教材の内容を受講生にとって意味のある内容に合わせて教えていたんです。合わせるというのは高いティーチングスキルが必要です。そしてそのスキルを、私は主任講師として何人かの講師に教えようとしたのですが無理でした。

同様に、ビズメイツの1,200人の講師にそのまま教えるというのは無理ですが、ビジネスパーソンが本当に困っていることが解決できるシンプルな教材が作れれば、ビジネス経験のある講師なら確実に教えられると思っています。

弊社の教材は受講生にとって意味のある内容だと自負しています。特に日本人が「なるほど!」と感じるものが教材に含まれています。

——その「なるほど!」の部分について、具体例があれば教えてください。

例えば私が

「Where do you work?(どこで働いているのですか)」

と質問したらどう答えますか?だいたいの人が「I work…」で引っかかるんです。そのあとに続くのはin、at、for、onのどれなのか?

「I work “for” Bizmates.」
「I work “at” Bizmates.」

どちらもOKです。極端な話ですが、どうでもいいんですよ、そんなの。

ビズメイツではそういうことは教えません。重要なのはシンプル、丁寧、効果的というところなんです。「どういう会社なのか」をちゃんと説明する。そして「自分の会社がどういうことをやっているのか」をアピールをする。ここが重要なんです。

ですから、「Where do you work?(どこで働いているのですか)」と聞かれたら正しい答えは、

I work Bizmates.We are English school for business person.
We help many many Japanese business person to communicate in global business.
We are the No.1 online business communication school in Japan.
Where do you work?

とまで言えたら素晴らしいです。文法は間違っていましたよ。でも素晴らしいです。それはビジネスに繋がります。

そうすると相手は、

Oh really? You are No.1 business school in Japan?
Tell me more about your company.

というようになるんです。

会社名を聞かれたらこう答えるんだよ、といったことが学べる教材ですので、ビジネススキルのある講師たちであれば同じレベルで教えることが出来ます。

——それは受講生が見るすべての教材に含まれているのですか?

そうです。そういった例はたくさんあります。自己紹介の際に

Hi my name is Hika Ito Nice too meet you.

と言うとだいたい

「あっ、あーナイストゥーミーチュー…ツー!わぁ!言えた!」と言って安心するのですが、シンプルで丁寧であっても効果的ではないんですよね。名前も言ってないですし、距離感も感じます。

ですから正しいのは相手の名前を最初にリピートする。

Hi my name is Hika Ito Nice too meet you.

と言われら

Nice to meet you Mr Ito.

といいます。そうすると相手が安心します。

Nice to meet you Mr Ito my name is Ken Suzuki.Please call me “Ken”.

というように「下の名前で呼んでください」と伝えます。

Oh, Ken.Nice to meet you.

というように会話を続けるのが重要です。

So, Is this your first time to Japan?
Yes my first time here. You know. I love Tokyo it’s such a beautiful city.

となるともうベストフレンドですね。全然難しい英語ではないです。シンプル・丁寧・効果的というのは、すこし視点を変えれば良いだけです。

「Nice to meet you too」なのか「It’s nice to meet you too」なのか「Nice meeting you」なのか色々なパターンがあるけれど「どれが良いですか?」と聞かれてもそんなことはどうでも良いです。それはビジネスに繋がらないです。そういったものが教材にたくさん含まれています。

最後に

最後に改めてお伝えしたいことは、ビズメイツはビジネス英語だけを教えているオンライン英会話ではないということです。ビジネスで活躍するためのコミュニケーションスキルを教えています。一般的なビジネス英会話スクールとは全く異なる考え方です。考え方が違いますので、教え方、講師、教材内容、アプローチ、全てが違います。

ビズメイツのレッスンを英語の先生ができるかと言ったらできません。英語の先生は「forが正しいです」や「inは違うよ」といったことは教えられますが、それはビジネスの成功には繋がりません。

「Where do you work?(どこで働いているのですか)」と聞かれと時、会社名を伝えるだけでなく、「私の勤めている会社はこういう会社です」まで言わないといけないんです。ビジネス経験のないただの英語の先生にはこの重要性は理解できません。ですから、ビジネスパーソンから教えてもらう意味があるのです。

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「自分自身で体験したことを読者にわかりやすく伝える」ことを一番大切にし、英会話スクール運営会社の代表者、担当者へのインタビューをはじめ、30以上のサービスを取材。各サービスの良いところだけでなく、良くないところも含めて体験した者だからこそわかる情報を発信している。

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