ペラペラ部が英会話スクールの運営会社様へインタビューし、ここだけの本音をお聞きする人気企画。
今回は英会話スクール大手「ECC外語学院」の篠崎様(教務トレーナー)と多賀様(新宿本校マネジメントスタッフ)のお二人にお話をお聞きしました。
大手のスクールって、教室は駅から近くて通いやすいし安心感がありますよね。
でもその一方で、特徴が見えにくく、他の大手スクールとの違いがいまいちよくわからないってイメージありませんか?
今回は公式サイトだけではわからない、「ECC外語学院ってどんなスクールなの?」というところを、英会話スクール選びで迷っている人たちの目線でインタビューしてきました。
篠崎様(教務トレーナー:勤務歴17年)
教務トレーナーとして講師への研修・サポートと同時に実際のレッスンも担当。また、関東エリアのレッスン内容の考案も行っています。
多賀様(新宿本校マネジメントスタッフ)
クラス運営、講師サポート業務などを中心に、新規入学者へのレッスンプラン提案や目標達成のための受講生サポートを担当。
メソッドについて
——ECC独自の“ELICITメソッド”とはどのようなものか教えてください。
(篠崎様)学校の授業では間違いを指摘されたり訂正されたりするイメージがあるかと思いますが、ECCのレッスンでは、間違えたときに段階を踏んで正しい表現を引き出しながら、「なぜ間違いなのか」を自分で気付かせる方法を取っております。例えば、
生徒:「I eat a hamburger yesterday.」
(私はハンバーガーを昨日食べます)
講師:「When did you eat it?」
(いつ食べたの?)
生徒:「Yesterday.」
(昨日)
講師:「Present or past?」
(現在、それとも過去?)
生徒:「Past.」
(過去)
講師: 「So don’t say “I eat” but say “I ate”.」
(「I eat」ではなく「I ate」と言いましょう)
生徒:「I ate a hamburger yesterday.」
(私はハンバーガーを昨日食べました)
講師: 「Great!」
(すばらしい!)
という風に、一方的にではなく生徒さんから引き出しながら、間違いに気づかせて正解に導くという方法をとっています。
また例えば、
「Can you…?」という、人に何かを頼む表現を学ぶ時に
講師: 「Do you say, “Can you…?” to your boss?」
(上司に対して「Can you…?」と言いますか?)
生徒:「Hmm.」
(うーん…)
講師: 「So let’s say, “Could you…?”.」
(「Could you…?」と言いましょう)
と、「丁寧に言いたいときは“Could you…?”を使う」とすぐに講師が言ってしまうのではなく、イメージ与えて引き出しながら気づかせるように指導しています。
——間違いを指摘されたり訂正されたりする学校の授業のデメリットはどういうものでしょうか?
(篠崎様)学校というのは受験や就職など目標がしっかりしている分、そのための対策にフォーカスしがちです。そのため授業を受ける側はどうしても「受身」になってしまいます。しかし本当に必要なのは試験で結果を残したその先のアウトプット力だと考えます。そのため、ECCではいろいろなニーズに合わせて「4技能+発信力」を磨くことに重きを置いております。
また、「沢山話させる」ことに重点を置いており、講師が一方的に話す講義形式ではなく生徒さんが自ら話すような流れにもっていく取り組みをしております。
体験された方は実感があるかと思いますが、海外の方が混在する会議で議論をする際に日本人は萎縮して全然喋りだせないケースがあります。まわりとは違った意見などもしまい込んでしまいます。
まず、自分から積極的に発言して良いと思えるように心理的ハードルを下げる、発言に説得力を持たせる方法を伝え、表現を磨いてもらうなど、日本人ならではの悩みを克服するサポートの必要性を感じております。
——会議などで英語をなかなかしゃべれないケースですが、“英語力に自信がない”、“心理的な障壁がある”どちらが原因なのでしょうか?
(篠崎様)どちらも当てはまります。そのため、レッスンではディスカッションで反論するときの切り口の表現を教えたり、根拠付けを前提にして話し合ってもらったり、後でそれに対してフィードバックしたりします。なるべく講師が介入せず生徒さん同士でスムーズにディスカッションをすすめていけるようにリードしています。
——例えば具体的なレッスンではどのようになりますか?
(篠崎様)例えば会議などで「discuss(~について議論する)」という動詞がありますが、日本人は「discuss about」と言いがちです。しかし「discuss」は他動詞なのでaboutはいらない、ということをまず教えます。そうすることで正確な英語が身につきますよね。ここまでがいわゆる「試験対策」ですが、ECCではそのうえで生徒さん自身が使う場面におきかえてdiscussという語を使う練習をします。例えばビジネスマンなら今日会議でなにをdiscussしたか、今国会ではどんなことがdiscussされているか、高校生なら英検®を意識して環境問題ではどんなことがdiscussされるべきか、など実際に使える文を作ってもらいます。
ENVISIONコース(注:日常英会話コース)ではリハーサルシートというものがあり、事前学習として自分が言いたいことをあらかじめ用意することでレッスン内で無駄な時間をなくし、活発に話せるように組まれております。
レッスンプランについて
——最適なレッスンプランをコーディネートしてくださるとのことですが、どのようにして受講者一人ひとりに最適なプランを作成するのでしょうか。
(多賀様)新規の方の場合はまず、個別カウンセリングをしっかり行うことからスタートします。その方のニーズや目標だけではなく、苦手な部分や継続学習できる方法などもアドバイスしながら最適なコースのご案内をいたします。
カウンセリング後にはECC独自の英語力診断テストを受けていただき、客観的にご自身の実力を把握していただきます。テストを分析し、どこを重点的に強化したら良いか分かりやすくしているのが特徴です。
社会人の方だとお仕事の状況により時間が取れず挫折してしまう方が多いため、本校では振替制度や状況に応じたコースの変更など、忙しい方でも柔軟にレッスンが受けられるサポート体制が整っており、継続学習がしやすいシステムとなっております。
——英語力診断テストはどのような内容でしょうか?
(多賀様)2通りの方法があります。まず一つめが、カウンセリングの中で簡易的にその方のレベルが把握できる“レッツ チャレンジ”というテストです。日本語が記載されている文章を私たちが読み上げ、和文英訳をしていただく方法です。即興で口頭英作文をしていただきレベルを把握するといった手法になります。
そして、より詳細を把握するために“独自のペーパーテスト”を行います。TOEIC®L&R TESTのようなマークシート形式のテストを60分間で受けていただき、リーディング力・リスニング力を正確に測ることが出来ます。
もう一つはある程度英語が話せる方向けとして、スピーキング力を測るために外国人講師と20~30分間会話をしてもらい、その方の適正レベルを測る手法がございます。
——自分がどういうレベルなのかわからない、勉強方法がわからないという方でも、カウンセリングで最適なプランを提案してもらえるということでしょうか?
(多賀様)はい。初心者の方や久しぶりに英語を話される方でもご安心ください。
——英語レベルを測る指標のようなものはあるのでしょうか?
(多賀様)CEFR(セファール「ヨーロッパ言語共通参照枠」)という、世界的な英語の基準を指標としています。その指標に基づいたコースをご用意しています。
例えば人気のENVISIONコースのレベル1では、自分の聞きたいこと、伝えたいことをシンプルな表現で聞く・話すということをやります。
——なぜ指標としてCEFR(セファール)を採用されたのでしょうか?
独自のレベル設定ではなく、世界基準であるCEFR(セファール)を使う点に意味があります。世界で英語を使う需要が増えている現状の中で、出張に行ったり、海外資本が入ってきて上司が外国人になったりといった場面が増えています。CEFR(セファール)を指標にすることによって、生徒さんの英語レベルを世界基準で把握することができます。世界基準で英語力の伸びを実感することはレッスンや学習へのモチベーション維持にもつながります。
学習サポートについて
——習熟度チェックを踏まえた定期的な個別カウンセリングがあるそうですが、これはどのような目的で、どのくらいの頻度で行われるのでしょうか。
(多賀様)まず、1年間に2回受けていただくテストの結果をもとにしたカウンセリングをご用意しております。クラス外での習熟度をお伝えする機会として有効に活用されております。英語力をバランスよく上げていくためには講師のサポートが必要不可欠です。目標に対してどのあたりまで到達しているのかを講師と常に確認していきながら、自己学習にも活かしていただくことを目的としております。
定期的な個別カウンセリングは1年間に2回ですが、実際はいつものレッスン前後に生徒さんと私たちスタッフで雑談を踏まえながら現状や悩みを把握しております。カウンセリングのタイミングに限らず、常に講師と生徒さんとわたしたちスタッフの三人四脚でサポートしております。
——いつものレッスンの前後に勉強方法や教材の選び方をカウンセラーに相談できるということでしょうか?
(多賀様)はい、もちろんです。困ったことがあればいつでもカウンセラーやスタッフにご相談していただけます。
——レッスンだけでなく自己学習をやらないと英語力はなかなか伸びないと思うのですが、自己学習のサポートもしていただけるのでしょうか?
(多賀様)自己学習はすごく大事ですね。ECCでも自己学習は皆さまに推奨しております。しかし、仕事で時間が取れなかったりモチベーションが下がったりする方もいます。モチベーションが低下していると感じたタイミングで講師と相談しながら学習方法をアドバイスしたり、お忙しいスケジュール中でどのタイミングで自己学習が出来そうか、生徒さん目線にたってサポートしています。
テキストについて
——ECCではどのようなテキスト(教材)を使うのでしょうか?
(篠崎様)ENVISIONコースはECCのオリジナルの教材です。海外の教材をベースに作ったものでなく、完全オリジナルです。
——なぜテキストを自社開発しようと思ったのでしょうか?
(篠崎様)英語ですべて書かれた市販本は必ずしも日本人の弱点に特化した目線で作られていないからです。また、ECCが長年培ってきた“どういうところを強化したら効果的なのか”というところを、現代のニーズ合わせて反映しております。
ENVISIONコースを開発したキッカケも、情報化がとても早い現代で言いたいことをスピーディに発信できる力がつくといいよねという思いから、「使える英語を最短で」というキャッチフレーズのもと開発されました。
——他の国と比べて日本人が特に弱い部分ってあるのでしょうか?
(篠崎様)日本人の文化として“和を重んじる”や“わきまえる”というものがあり、自分の発言を控える背景があります。外国人と対等に渡り合うためにはそこを突破することが必要です。
また、日本語と英語は文構造も真逆の語順であることが多いです。そのため英語特有の文型、自動詞・他動詞の使い分け、数えられる名詞・数えられない名詞のような日本人が特に苦手とする部分の強化が必要です。そのあたりも加味した教材でもあります。
——具体的にどのような工夫がされているのでしょうか?
(篠崎様)“何を話していいかわからない”という悩みへの対策としては、事前学習用にリハーサルシートというものがあり、与えられたお題に対して自分はどんなことを言いたいのかを整理していただいた上でレッスンに臨んでもらいます。また、事前学習で構文がしっかり頭に入った状態でレッスンに臨んでいただくので、その分レッスン内のoutputの時間が増えます。
——リハーサルシートの準備にはどれくらいの時間を要するでしょうか?
(篠崎様)人によりますが、Pre-studyの構文学習は早ければ5分くらい、長い人は30分くらいです。あとはリハーサルシートでその構文を使って話すネタを準備しておく。そういったところで下地を作った上でレッスンに来られる方が多いです。トータルで大体30~40分くらいです。
講師について
——講師は生徒から主体的な発話を引き出す指導に精通しているとありますが、具体的にどのような指導なのでしょうか。
(篠崎様)従来の英会話レッスンですと、一つのシーン(例えば道案内など)での会話パターンを覚えて反復し、最終的に自分で話す練習をするのが主流です。ECCの“主体的な発話を引き出す指導”というのは、一つのパターン、シーンをきっかけにしてすぐ自分が話したい場面に置き換えて発話する(=主体性)というものになります。
例えば困っている時にお願いをするための構文があったとしたら、それを仕事の場面に置き換えて上司や同僚に依頼したり、旅行先なら情報がほしいと頼んだり、子育て中のお母さんなら家事分担を頼んだり、というようにそれぞれの場面で構文を使っていけるように工夫しています。構文学習では他にも様々に言い換えられるものを用意しており、それを踏まえた上でリハーサルシートでしっかり準備していただく流れになっています。
——バイリンガル講師と外国人講師の組み合わせ指導をされている理由を教えてください。
(篠崎様)バイリンガル講師には、“日本人でもこういう風になれる”というロールモデルとしての役割があります。我々講師も中学、高校と詰込み型の英語の授業を体験した上で英語をマスターしておりますので、生徒さんと悩みも共有できます。
また、本来の英語の意味と違う和製英語というものがありますが、そちらにも日本人講師であれば対処できますし、英語初心者の発音や日本人ならではの文法のつまずきもケアできるメリットがあると思います。
外国人講師によるレッスンはとっさの質問や話題にも対応できるよう即興性を磨く意味があります。
——バイリンガル講師と外国人講師で授業の内容も変わってくるのですか?
(篠崎様)全く違ったことをやるわけではなく、バイリンガル講師のレッスンで練習、修正して身につけた表現を駆使して、外国人講師のレッスンに挑むという一貫性をもっております。
——バイリンガル講師、外国人講師に関しては交互にレッスンをするということですか?
(篠崎様)ENVISIONコースはそうなります。パワーイングリッシュ(注:バイリンガル講師によるグラマー・リーディング・リスニングの三本立てのレッスン)に関してはバイリンガル講師のみとなります。あとはフリータイムレッスンという外国人講師との会話のレッスンもあります。様々なニーズに合わせて利用できます。
——どの講師が良いか、どのレッスンが良いかもカウンセリングでご提案していただけるのですか?
(多賀様)はい。その方のご希望によってコースをご提示しています。しっかり基礎を学んで実践するといった流れになります。
コースについて
——パワーイングリッシュというものもありますが、これはどのようなコースなのでしょうか。
(篠崎様)バイリンガル講師のみによるレッスンです。レベルが5つに分かれておりまして、グラマーとリーディング、リスニングの三本立てのレッスンになっております。グラマーのテキストに関しては学校のテキストや市販の文法書と内容は似ていますが、レッスンではアウトプットを重視しています。習った構文の解説をうけて自分が使う場面に落とし込み発話していく方法を取り入れております。
文法の修正にもなるので、“たまたま英語が通じてしまった人”や、“単語ベースで相手が意味を汲んでくれて会話が成り立っている人”にとって効果的です。
例えば、「昨日雨だった」というのを
「It was rain yesterday.」
と言ってしまう人が多いのですが、rainというのは動詞なので
「It rained yesterday.」
と言わなければいけません。あとは形容詞にして
「It was rainy yesterday.」
ということもできます。また今降っているのであれば、窓の外を見て
「It’s raining.」
と言う。このように自分で気付かない文法の間違いを修正していける内容となっています。リーディング、リスニングはトピックが連動しているので、読んだり聞いたりした情報をインプットするだけではなく、それを簡潔にまとめて伝えたり、その内容を元にディスカッションをする練習をします。TOEIC®L&R TESTのスコアも効果的に上げられる内容になっています。パワーイングリッシュを受けて「TOEIC®L&R TESTのスコアが100点以上あがった」といった声をよくお聞きします。
——パワーイングリッシュはどういう方にオススメですかね?
(篠崎様)英語をお仕事で使う場合、状況に応じた適切な表現があります。戦略的に話をするときの伝え方や、何かを進める、探るというときにどういう助動詞を使ったら効果的なのか、など。何をどう伝えるか瞬時に判断する力が身に付きますので、ビジネスシーンにおいて効果的に話すことができます。
日本語でもそうですが、「何をどう伝えるか」簡潔に論理的に話される方はビジネスでも信用されます。英語でも同じです。社内での上司との対話、プレゼンテーションにも通用する力が身に付きますし、接待などにも対応出来ます。
——ENVISION(日常英会話コース)では、「事前学習」「基本レッスン」「事後学習」「実践レッスン」のサイクルで学習を進めるとのことですが、その理由を教えてください。
(篠崎様)リハーサルシートを作成する事前学習によってイメージトレーニングをした上で、基本レッスンではバイリンガル講師と技能統合型のトレーニングをします。具体的には、リスニングで聞いた情報を元に会話を展開する。読んだ情報を元に情報を交換する。スピーチをする場面では生徒さんにメモを取らせる。メモを取った上で講師が生徒さんに質問し回答してもらう。日常で必要な4技能を駆使してアウトプットしてもらいます。
そこで「こういう事を言いたかったのにどう伝えれば良いかわからなかった」や「先生に正された」など色々な気づきが生まれます。それを踏まえて事後学習としてトレーニングブックを使い自己学習をしていただきます。
そして最後の外国人講師との「実践レッスン」では、どのような会話になるかわからない状況の中、知っていることを駆使しながらどれだけ通じるかに取り組んでいただきます。
スポーツもそうですが、練習だけでは上達しません。練習をして試合をして、を繰り返すことで上手になります。
編集後記
以上、ECC外語学院の篠崎様、多賀様へのインタビューでした。
レッスンでは主体的な発話を引き出すことを重視しているという点は、アウトプットが不足している日本人にピッタリなスクールだと感じました。
日本人向けに完全オリジナルの教材を開発されているという点からも、全てが日本人の英語学習者向けに考えられていることがわかります。
「使える英語を最短で」というキャッチフレーズがまさにピッタリなスクールです。
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ディレクター・編集者(詳しいプロフィールを見る)
「自分自身で体験したことを読者にわかりやすく伝える」ことを一番大切にし、英会話スクール運営会社の代表者、担当者へのインタビューをはじめ、30以上のサービスを取材。各サービスの良いところだけでなく、良くないところも含めて体験した者だからこそわかる情報を発信している。
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