stillは、英語での会話で良く登場する言葉ですが、文脈に合わせて意味を捉えていく必要があるため、「分かりにくい!」と感じている方も多いでしょう。
今回の記事では、そんなstillの意味や使い方、使用する際の注意点について詳しくご紹介していきます。気になるstillを置く適切な位置についても、具体的な例文を通して学ぶことができます。
この記事を読むことで、stillの基本的な意味と使い方を理解し、ネイティブとの会話に活かすことが可能になります。ぜひチェックしてみてください。
stillの意味
stillには、大きく分けて副詞、形容詞、名詞としての3つの意味が存在します。それぞれの品詞や意味の違いによって、使用する位置も変わってきます。
以下から、それぞれの品詞ごとにその意味と使い方について詳細をご紹介します。
副詞:まだ・未だ、なおいっそう
まだ・未だ
stillの副詞の意味としてまず挙げられるのが、「まだ・未だ」という意味です。その直後、あるいは直前に置いた言葉を修飾・強調する役目を果たします。
例えば、「彼はまだ寝ている」、「私は未だ彼女を愛している」という文章内の「まだ、未だ」がこのstillに当たります。
stillの置く位置は、他の副詞の場合と同様、基本的には強調したい形容詞や副詞、助動詞・動詞の直前となります。動詞がbe動詞の場合はその直後に置いて使用します。
なおいっそう
次にご紹介するstillの副詞の意味は、「なおいっそう」です。比較級を表す意味の強調のために使用します。全く同じ比較の強調を表す他の単語に、「even」があります。
例えば、「彼女は頭が良いが、ジェフはなおいっそう頭が良い」の文章内、「なおいっそう」がこのstillに当たります。
ただ、アメリカ英語に限って言えば、比較の強調の意味で使用する場合、同じ意味を表すevenが好んで使用される傾向にあります。
接続詞的な意味を表す副詞:それでも
stillには、接続詞的な意味を表す副詞の意味として「それでも」という意味もあります。stillには本来、接続詞に大別される意味は存在しません。
しかし、特にアメリカ英語では文頭にstillを置いて接続詞的な意味で使用する使い方が一般化しています。
例えば、「それでも彼女は驚かなかった」の文章中、「それでも」がこのstillに当たる部分です。厳密な文法的な見地から言うと、この意味で使用する場合も品詞は副詞です。
しかし、文頭でstillが使用される場合、ほぼ接続詞として機能し、使用されるということを覚えていきましょう。
形容詞:動かない・静止した、静かな
動かない・静止した
形容詞としてstillを使用する際の意味としてまず挙げられるのが、「動かない・静止した」という意味です。
品詞は形容詞であることから、基本的に名詞の前や動詞の後に置いて使用します。
例えば「良いと言うまでじっとしていなさい」、「静かな流れは深い」内の「じっと」、「静かな」の部分をstillを使って表します。
静かな
次にご紹介する形容詞の意味は、「静かな」です。何かが静止した状態でいるために音が無く、静かな様子を表す言葉として使用します。類義語は、同じく形容詞の「silent」です。
例えば、「昨日は大晦日だったので、とても静かな夜だった」という文章内の「静かな」がstillに当たります。
名詞:静けさ・静寂
stillの名詞の意味として、「静けさ・静寂」が挙げられます。stillを名詞として使用する場合、「the still」という形にする必要があります。同じ名詞の意味を持つ言葉で、「stillness」もあります。
例えば、「静けさの中で彼を見た」という文章内の「静けさの中で」を「in the still」と表現できます。ただ、このstillを名詞として使用する使い方は、やや詩的な響きを持ちます。
日常生活で使用する際は、同義語であるsilenceやstillnessを使用しましょう。
stillの発音・読み方
ここからは、気になるstillの発音と読み方をチェックしていきます。
stillの発音記号
stillを発音記号に直すと、「stíl」となります。
stillの発音・読み方
stillの発音・読み方は、日本語的な表現では「スティィル」となります。
発音のポイントは、まず「ス」の音は、前歯のすぐ裏の歯茎に舌先を近づけ、その隙間から息を出して発音します。
「ティィ」はまず、舌先を前歯すぐの裏の歯茎くっつけ、息を止めた状態から勢いよく「トゥ」と発音後、エとイの音を同時に出す意識で、エ・イの中間音である「ェイ」を発話し、それそれを続けて発話します。
最後の「ル」は舌先を前歯すぐ裏の歯茎につけ、その状態で「ウ」と発音します。特に「ll」部分に当たる「ル」の発音は、意識しないと「r」の音になってしまうので注意しましょう。
stillの使い方と例文
以上まで、stillの品詞ごとの意味や発音、発音のポイントについてまとめてきました。ここからは、気になるstillの使い方と具体的な例文についてご紹介していきます。
stillを今まで以上に自信を持って活用していきたいという方は、ぜひチェックしてみてください。
stillの使い方
stillの使い方の中で特に迷いやすいのが、stillの位置です。先述した通り、stillの位置は品詞ごとに分けて判断していく必要があります。
副詞の場合は、基本的には動詞、形容詞、副詞の直前に置きます。例外は、be動詞の場合はその直後に置くことと、接続詞的な意味で使用する場合は文頭に置くことです。
形容詞の場合は、動詞の直後か名詞の直前に置きます。名詞の場合は、theと共に直前に前置詞を伴って使用することが多いと言えます。
stillの位置を考える際に重要なのは、この言葉をどんな意味で、その言葉を修飾・強調する目的で使用するのか?について良く確認することです。
上記が明確になれば、後は他の品詞の場合と同じく、文法上のルールに乗っ取って位置を決めていけば迷うことはありません。(※例外のケースを除く)
stillの例文
それでは早速、以下から具体的な例文を使って品詞ごとのstillの使い方を確認していきましょう。それぞれの例文内で、stillがどこにあるかにも着目してみてください。
新しい言葉は、例文と合わせて暗記しておくとネイティブとの会話にも役立ち便利です。ご紹介している例文は、どれも日常生活で良く使用されるものばかりですので、ぜひ活用してみましょう。
stillを使った例文① 副詞
stillを副詞の意味で使ったこの例文の意味は、「私たちはまだ(頼んだ)飲み物を待っています」です。
例えば、友人とレストランに訪れたとしましょう。食事と一緒に飲み物を頼んだはずなのに、食事だけ先に来てしまい、飲み物のオーダーを店側に忘れられているという状況で当例文を使用できます。
be動詞が使われているため、先述した通り副詞で「まだ」を表すstillがbe動詞の直後に置かれています。
レストランやカフェなどで外食する際に使用する表現は、海外ドラマ・映画はもちろんのこと、日常会話でも良く耳にする表現と言えます。ぜひフレーズそのままを覚えて活用しましょう。
会話文例
(すみません、まだ飲み物を待っているんですが。コーラとアイスティーを頼みました。)
(誠に申し訳ありません、お客様。すぐにお飲み物をお持ちしますね。)
stillを使った例文② 接続詞的な意味を持つ副詞
接続詞的な意味を持つ副詞を用いたこの例文には、「私はすごく疲れていたけど、自分のクラスに行った」という意味があります。
副詞でありながら、例文内2つ目の英文の冒頭にstillを置き、接続詞的な意味「それでも」という意味を表しています。
例えば、ネイティブの友達からSNSで自分の様子を気遣うメッセージが来たという状況を思い浮かべてみてください。
相手の気遣いに感謝しながら、今の自分の状況を伝える際に以下のような会話例を活用できます。
会話文例
(タケシ、今日は元気?昨日の夜、すごく酔っぱらってたから、確認をと思って。)
(ありがとうベン!今朝はすごく疲れてたけど、それでもクラスに行ったよ。今はずっと良いよ。)
stillを使った例文③ 形容詞
stillを形容詞として使用したこの例文の意味は、「私が良いと言うまでじっとしておいて」です。この場合、stillは「静止した、じっとした」という意味を表します。
「~の状態を保つ、保持する」という意味を持つ動詞、keepの直後にstillを置くのがポイントです。
例えば、海外で不慮の怪我をしてしまい、病院で治療を受ける必要があるとします。
状態をチェックする場面で、医者から「状態を確認するので、安静にしておいてください」という意味で例文のように声をかけられることがあります。
会話文例
(私が良いと言うまでじっとしておいてください。)
(分かりました。)
stillを使う際の注意点
stillを使う際の注意点としてまず挙げられるのは、先にもご紹介したstillの位置です。英文の中でこの言葉をどの品詞で使用するか?によって位置が変わってきます。
もう一つの注意点として挙げられるのが、日本語に訳すとstillと意味が似ているように思えるものの、実は異なる意味を表す「already」、「yet」などとの使い分けです。
ここからは、この意味が似ている言葉との使い分けという観点から、stillのよくある間違った使い方と注意点について詳しくご紹介していきます。
already, yetとの違いと使い分け
まず、stillとalready, yetの意味の違いを下の表で確認してみましょう。
単語 ※品詞は全て副詞 | 意味 | 例文 |
still | まだ・未だ | 彼はまだ寝ている。 |
already | もう・すでに | 彼女はすでに宿題を終わらせた。 |
yet | もう(疑問文で) まだ(否定文で) | もう宿題は終わったの? 彼はまだ仕事を見つけていない。 |
上記のように整理すると、それぞれの意味を日本語にした際、厳密に言うと意味は異なるはずなのに、同じ言葉を使用している場合があるということが分かります。
これが、ここで挙げた3つの単語が混同しやすい理由です。よくある間違いが、それぞれの意味を区別することなく、色んな場面で混同して使用してしまうケースです。
上記のような間違いを避けるため、それぞれが表す意味を的確に捉えた覚え方をするよう注意しましょう。
例えば、stillは「まだ・未だ」で物事が継続している様子を表します。alreadyは「もう・すでに」で物事が完了している様子を、yetは現時点で物事が完了しているかどうかを疑問文、否定文で表す際に使用します。
日本語は、同じ言葉を使って違う複数の意味を表すことが得意な言語です。それに対して、英語は表現したい意味ごとにそれぞれの単語を切り分けて表します。
特に今回挙げたような「日本語で見ると意味は一緒に思えるけど、実は違う」言葉とは、しっかり意味を区別するよう注意してみてください。
stillの語源
それぞれの単語の語源を知ることは、単語へのより深い理解につながります。語源を多く知るほど、同じ語源を持つ単語でまだ意味を知らない単語の意味を予測できるようにもなります。
以下からstillの語源について分かりやすくまとめていきます。
語源は古英語stille
stillの語源は、現代英語の祖語と言われる古英語の「stille」には元々、「動かない、安定した」という意味があります。これは、現代英語のstillの形容詞の意味に繋がります。
また、stilleは、1530年頃から副詞として、「まだ、未だ」という意味で使用されていました。この副詞の意味は、現代英語stillの副詞の意味にも重なります。
形は微妙に違いますが、stillは語源である古英語stilleの意味をほぼそのまま受け継いできたことが分かります。
stillと意味が似ている単語
ここまで、stillの意味や具体的な使い方、注意点や語源について解説してきました。最後に、覚えておくと便利なstillの類語をいくつかご紹介します。
いつも同じ言葉ばかりを使って話す、退屈な会話パターンから抜け出すためにも、少しずつ語彙数を増やしていくことは非常に重要です。
それぞれのニュアンスの違いを理解しながら、あなたもぜひ日々の会話に以下の類語を活かしてみてください。
even (比較の意味)
最初にご紹介するのは、「even」です。stillと同じく、比較を表す文章内で、何かの程度をさらに強調する単語として使用します。意味は、「なおいっそう」です。比較級の直前に置きます。
evenを使った会話文例
(ケン、これについてどう思う?)
(わぁいい感じだよ!前のに比べてよりいっそう良いことには間違いないね!)
inactive
次にご紹介するのは、「inactive」です。この類語は、形容詞で「静止した、動かない」という意味を表します。
「動きのある」という意味のある「active」に、打消しの意味を表す「in」がついています。
何かが物理的な運動にない様子を表す言葉として使用します。stillを使用する場合に比べ、少し堅いニュアンスが伝わることに留意しましょう。
inactiveを使った会話文例
(この機械はまだ動かないみたいだね。)
(どれどれ。うーん、本当だ。直すのいに違う道具が必要かもね。)
silence
最後にご紹介するのは、「silence」です。先述した通り、stillを日常生活レベルの会話で名詞で使用することはごく稀なので、同じ意味を表したい場合は、このsilenceを使用しましょう。
意味は、「静寂、静けさ」となります。
silenceを使った会話文例
(昨夜のイベントはどうだったの?)
(変だったよ!人が少なくて、すっごく静かだったんだ!)
まとめ
今回の記事では、品詞によって複数の意味を表すことができるstillをご紹介しました。特に品詞事の意味の使い分けと、文章内の位置に注意が必要なことが理解できたのではないでしょうか?
ご紹介した例文も参考にしながら、あなたも自信を持ってstillを色んな会話の場面で活用してみてくださいね。
リー 木嶋 実有紀
「英語を使って自分の視野をもっと広げたい!」との思いから、国際関係や異文化理解を学べる学科に進み、カナダの大学に一年間留学。日本で約4年間、公立小学校で英語を教える傍ら、個人英会話教室でも英語を教える。アメリカ人の夫との結婚を機に2014年に渡米。アメリカ・日本にお住いの方に英語レッスンを行う。英語学習歴は15年以上、教授歴は10年。「今からでもすぐに使える、実践的な内容」をお届けします。
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