英検1級対策をメインに行うアルカディアコミュニケーションズ主催。バーミンガム大学修士課程(翻訳学)修了(MA)。テンプル大学修士課程(教育学)修了(MS)。近畿大学・関西大学非常勤講師。主な著書は『英語で論理的に意見を述べる技術とトレーニング』『英語プレゼンテーション すぐに使える技術と表現』、『ゼロからスタート英会話』『会話できる英文法大特訓』など大学関連テキストも含めると30冊以上。
英語圏の教育機関へ留学したい方にピッタリなのが「IELTS」です。世界140カ国、約10,000以上の教育機関・国際機関・政府機関が英語力の判断基準としてIELTSスコアを採用しています。
海外留学に備えてIELTS受験を考えている方も多いと思いますが、初めて受験する方の場合、試験の内容や就職にはどのくらいのスコアを目標とすれば良いのか、試験にいくらかかるのかなど知りたいことは多いかと思います。
そこで、IELTSはどういう試験なのか、費用や申し込み方法などの基本情報を説明するとともに、IELTSのスコアを取得するメリットや他の英語試験の違いについても説明いたします。
IELTSとは
IELTSとは、International English Language Testing Systemの略であり、主に海外留学や海外移住する人を対象とした、国際的に認められている英語力認定試験テストです。
英語圏で生活、仕事、または学校の授業についていける英語力を測定するために開発されました。
試験項目は、リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの4つのセクションで構成されています。また、筆記形式で試験は行われます。
設問数 | 試験時間 | 内容 | |
リスニング | 40問 | 約30分のテスト+10分間 (回答をマークシートに書き写す時間) | セクション1: 日常的な会話(登場人物 2~3人) セクション2: 日常生活を扱った説明(登場人物 1人) セクション3: 学術的な会話(登場人物 2~3人) セクション4: 学術的な講義(登場人物1人) |
リーディング | 40問 | 60分 | 長文3種、社会科学、人文学、自然科学など幅広い分野から出題。 合計2,000~2,750ワード程度 |
ライティング | 2問(タスク) | 60分 | タスク1:約20分、150ワード以上/タスク2:約40分、250ワード以上 |
スピーキング | 3パート | 約11~14分 | パート1:一般的な質疑応答、自己紹介的 パート2:用意されたトピック、条件に合わせて1-2分のスピーチ パート3:ディスカッション) |
テストには2つの種類がある
テストには、Academic ModuleとGeneral Training Moduleの2種類があります。
それぞれの内容について説明します。
Academic Module(アカデミック・モジュール)
Academic Moduleは、大学や高等教育機関など、海外留学でIELTSスコアが必要な方が受験します。
特にイギリス、オーストラリア、ニュージーランドの高等教育機関へ出願する場合、IELTSスコアの提出が求められることが多いです。
最近では、アメリカ、カナダなどでも、IELTSスコアを採用する教育機関が増えています。
大学やコースによって入学条件となるスコアは違いますので、希望する教育機関の最低限スコアをよく確認しておく必要があります。
General Training Module(ジェネラル・トレーニング・モジュール)
General Training Moduleは、海外移住や就職を考えている方が受験します。
試験内容は、一般的な生活や仕事での会話、移住関係に関わる英語となります。特に、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドへ移住する場合はIELTSスコアが必要な場合が多いです。
IELTSのスコアを取得するメリット
IELTSのスコアを取得するメリットについてお話します。
海外への留学や永住に優位
IELTSはイギリスやアメリカ留学および研修の英語力証明、また海外移住申請の際に英語力の目安として採用されている資格です。
今後世界で学びたい、住みたいと考えている方にとってIELTSスコアは非常に役立ちます。
総合的に英語能力を測定できる
IELTSは、リーディング、リスニング、ライティング、スピーキングの4技能を測定する試験です。
スピーキングテストは、試験官と1対1の面接形式で行われ、受験者の英語でのコミュニケーション能力が測定されます。
IELTSの基本情報
IELTSの基本情報について説明します。
申し込み方法
申込みは、オンラインと郵送の2つの方法でできます。なお、受験にはIELTS IDの取得と有効期限内のパスポートが必要です。
受験にかかる費用
IELTSの受験料とその他にかかる費用は以下の通りです。
受験料 | 25,380円 |
追加成績証明書の発行手数料1通(5通までは無料) | 1,100円 |
成績証明書の書留郵便での送料 | 1,600円 |
キャンセル料 | 6,300円 |
変更料(初回は無料) | 6,300円 |
※上記の金額はすべて税込みです。
受験資格
16歳以上の方が受験できます。
日程・会場
試験は、1ヶ月に3~4回、国内12都市(東京、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、福岡、札幌、仙台、金沢、岡山)のIELTS公式テストセンターで実施されています。
締め切り日は試験日より5週間前ですが、会場ごとに定員に達すると受付が締め切られます。なお、スピーキングテストは筆記テストの前後1週間以内で設定される場合があります。
結果発表
テスト結果の通知は、受験日から13日目に「IELTS 公式の成績証明書(Test Report Form)」が発行されて郵送で届きます。
総合評価としてのオーバーオール・バンドスコアと各パートそれぞれのバンドスコアが結果として記載されます。
試験結果の有効期限
筆記テスト当日を含め、有効期間は2年間です。
バンドスコア別の英語レベル目安
IELTSの、正解数に応じて厳密にスコアが算出されるのではなく、点数に幅(スケール)をもたせたバンドスコアという方法で評価されます。
具体的には、1.0~9.0の中で0.5刻みのバンドが用意されています。
バンドスコア | レベル | 評価 |
9.0 | Expert user (エキスパート・ユーザー) | 十分に英語を駆使する能力を有している。適切、正確かつ流暢で、完全な理解力もある。 |
8.0 | Very good user (非常に優秀なユーザー) | 時折、非体系的な不正確さや不適切さがみられるものの、十分に英語を駆使する能力を有している。慣れない 状況においては、誤解が生ずることもありえる。込み入った議論に、うまく対応できる。 |
7.0 | Good user (優秀なユーザー) | 時折、不正確さや不適切さがみられ、また状況によっては誤解が生ずる可能性もあるが、英語を駆使する能力を 有している。複雑な言語も概して上手く扱っており、詳細な論理を理解している。 |
6.0 | Competent user (有能なユーザー) | 不正確さ、不適切さ、および誤解がいくらか見られるものの、概して効果的に英語を駆使する能力を有している。 特に、慣れた状況においては、かなり複雑な言語を使いこなすことができる。 |
5.0 | Modest user (中程度のユーザー) | 部分的に英語を駆使する能力を有しており、大概の状況において全体的な意味をつかむことができる。ただし、 多くの間違いを犯すことも予想される。自身の分野においては、基本的なコミュニケーションを行うことができる。 |
4.0 | Limited user (限定的ユーザー) | 慣れた状況においてのみ、基本的能力を発揮できる。理解力、表現力の問題が頻繁にみられる。複雑な言語は使用できない。 |
3.0 | Extremely Limited user (非常に限定的なユーザー) | 非常に慣れた状況において、一般的な意味のみを伝え、理解することができる。コミュニケーションが頻繁に途絶える。 |
2.0 | Intermittent user (一時的なユーザー) | 確実なコミュニケーションを行うことは不可能。慣れた状況下で、その場の必要性に対処するため、極めて基本的な情報を 単語の羅列や短い定型句を用いて伝えることしかできない。英語による会話、および文章を理解するのに非常に苦労する。 |
1.0 | Non user (非ユーザー) | いくつかの単語を羅列して用いることしかできず、基本的に英語を使用する能力を有していない。 |
0 | 非受験者 | 評価可能な情報なし |
他の英語資格との違い
他の英語資格との違いについて説明します。
TOEIC
TOEIC Listening & Reading Test(以下TOEIC L&R Test)とは、リスニング(聞く)とリーディング(読む)の2つの英語力を測定するための試験です。
「ビジネスシーンや日常生活におけるコミュニケーション能力を幅広く測定することを目指して設計されています。昇格・昇進や就職・転職に有利な資格です。
TOEFL
英語を母語としない人々の英語コミュニケーション能力を測るテストです。日常生活や留学に必要な、「読む」「聞く」「話す」「書く」の4つの技能を総合的に測定します。
留学希望者であれば避けては通れない試験と言えるでしょう。
英検(実用英語技能)
英検(実用英語技能検定)は、社会で通用する実用英語を測定する資格検定試験です。
5級(初級)~1級(上級)の7つの級に分かれており、それぞれ「聞く」、「話す」、「読む」、「書く」の4技能を測定し、合否を判定するものです。
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まとめ
以上、IELTSについて、初めて受ける方が知っておくと良い基本的な情報を解説しました。
日本でも徐々に認知度が上がってきているIELTSの試験には受けるべき魅力が数多いです。留学や移住希望者はもちろんのこと、合否ではないのでより高いバンドスコアを目標に、英語4技能を高めるために活用されるのも良いのではないでしょうか。
留学を視野に入れている方、海外で働きたいと思っている方はIELTSの受験をおすすめします。
ライター(詳しいプロフィールを見る)
10歳までをフィリピンで過ごした英語と日本語のバイリンガル。優れた英会話力を活かし、初心者が抱く英語の疑問を解消する「ペラペラ英語塾」の記事を担当。また、英会話スクールやオンライン英会話、英会話カフェ等を体験してのレビュー記事も担当しており、体験したサービスの数は30以上を数える。
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