「マンガでわかる最速最短!英語学習マップ」著者インタビュー 

2022年5月9日

ペラペラ

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田畑翔子様 プロフィール
京都府出身。米国留学を経て、立命館大学言語教育情報研究科で英語教育を専門的に学ぶ。その後、教育系ベンチャー企業「株式会社スタディ―ハッカー(旧社名・恵学社)」を創業し、現在は取締役としてENGLISH COMPANYと予備校部門を担当。言語教育情報学修士、英語教授の国際資格TESOLを保持。

「英語のパーソナルジム」サービスを提供するStudyHacker ENGLISH COMPANY(イングリッシュカンパニー)は、2018年12月19日に「マンガでわかる 最速最短!英語学習マップ」という本を発売しました。

ENGLISH COMPANYは「第二言語習得研究」と呼ばれる学問をベースとした科学的トレーニングにより、90日間で劇的に英語力を伸ばすことができるサービスです。

科学的根拠にもとづいた学習法は英語を身に着けるために最も効果的で効率的な方法ですが、「第二言語習得研究」と聞くとちょっと難しそうなイメージもあります。

今回発売された「マンガでわかる 最速最短!英語学習マップ」は、「第二言語習得研究」をはじめ、「最短で英語が身につくメソッド」をマンガで分かりやすく知ることができる、英語を学習するすべての人に読んでほしい一冊です。

今回は是非とも著者の方にお話しを聞きたいと思い、ENGLISH COMPANYを運営する株式会社スタディーハッカーの取締役で、本書の制作にも深く関わられた田畑翔子様にお話を伺ってきました。

最速最短!英語学習マップについて

——本書を出版したきっかけを教えていただけますか?

どのような道のり(順番)で行えば英語学習が効果的になるのかをずっと考えてきたので、それをなるべくわかりやすく知ってもらいたいと思ったのが出版のきっかけです。

ENGLISH COMPANYはマンツーマンでパーソナルトレーナーを付けるというサービスがメインのため、1人1人のトレーナーがサービスを提供できる枠に限りがあります。なんとか少しでも、正しく効果的な学習を広められないか、という思いがずっとありました。

最近では、ENGLISH COMPANYの学習メソッドのベースとなっている『第二言語習得研究』という言葉をよく耳にするようになりました。
これは1960年代頃から研究され始めた新しい学問で、人が第二言語(母語以外の言語)を身につけていくプロセスやメカニズムを研究する学問です。日本でも活発に研究がされています。

ただ、まだまだそういった研究の成果が実際の教育に応用されるという事例は日本では少ないんです。いろんなデータはあるけど、

ではそれをどう応用すればいいのか?
どんな条件の人にこれは効果的なのか?

そこを、これまで私たちが実践してきた教育現場の経験を踏まえてなるべく簡単に提示できればという思いがありました。

——なぜマンガにしようと思ったのですか?

やはり、その方が伝わりやすいと考えたからです。文とマンガで構成されていれば本が苦手な人でも読みやすいですし、頭に入りやすいと思います。

立命館大学の大学院で言語教育を専門にご研究をされている田浦秀幸教授に、以前こちらから企画を持ちかけて「科学的トレーニングで英語力は伸ばせる!」という本を一緒に出させていただいたことがあります。
それが文字だけのものでしたので、今回はENGLISH COMPANYの2冊目ということもあり、マンガも交えました。

第二言語習得研究については、取材などでお話をしていても、初めて耳にするという方がまだ多くいらっしゃいます。たくさんの人に理解してもらうために、わかりやすさを考慮してマンガで説明しつつ、詳細については文章を入れていくという手法で展開しました。

「英語力マップ」について

Chapter3にて書かれた「英語力マップ」について、現在の自分の英語力や状態にあった学習内容とはどのようなものかお聞きしました。

——「英語力マップ」も第二言語習得研究に基づいて作成されているのでしょうか?

そうですね。かつ私たちでも試行錯誤をして作成しました。第二言語習得研究というのは“研究”ですので、色々な研究結果の蓄積です。

「こういう状況であればこういう結果」というデータがたくさんあって、それをどう解釈して日本人学習者に効果的なものにしていくか、というところを考えていかなければなりません。

これまで予備校事業から始まり、ENGLISH COMPANYでの実践も踏まえて、大人の日本人学習者には、概ねあのような流れが効果的ではないかと現在は考えています。

——本書で一番伝えたかったことは何でしょうか?

世の中には様々な学習メソッドがあります。でも、その方法がいまのあなたに本当に最適ですか?という問いが、本書のテーマのひとつです。

本書には、それぞれの学習メソッドのことが詳しく書かれているわけではありません。そうではなくて、「あなたにこういう課題がある場合は、あなたのここが問題なんですよ」ということを見極めて、それに応じたメソッドを選んでいくということが重要だということを書いています。

例えば、「英語力をあげるために英会話スクールに通うというメソッド(アプローチ)」があります。実はこのこと自体が正解だとか不正解だとか、そういうことではありません。
要は、英会話に取り組めば効果的なフェーズというものもありますし、「あなたの段階で今そこに集中してもあまり意味がないよ」というフェーズもあるということです。

世の中には「このやり方が絶対に良いんだよ!」「このやり方が最強なんだよ!」というように特定のメソッドを推しているところも少なくありませんが、“絶対”なんてないんです。

何にでも効く薬がないのと同じように「これは胃に効く」「これは心臓に効く」みたいなものがあるだけです。みんなが同じことをやれば良いというわけではありませんし、その人の学習フェーズ(レベル)によって取り組むべき方法が違うということをわかって欲しいと思っています。

「短期留学に行ったけど話せるようになりませんでした」や「オンライン英会話をしたけど挫折しました」などのように「やったけどダメだった」というのもよく聞きますが、それぞれのメソッドが間違っているというより、その時の自分の課題に合っていなかったというだけのことが多いんです。
間違っているとすればそれは、何も考えずに「とりあえずやった」という部分なのです。

実際のENGLISH COMPANYのサービスでも、きちんと課題を見極めて「今のあなたにはこの方法が一番良い」というところを大事にしています。

——本書をどんな人に読んでもらいたいですか?

中学生くらいになると、抽象的な事柄を理解する認知能力が高まってくると言われています。そういう年齢以上の方に対してできるだけ汎用性が高い方法、学習ルートをご紹介していますので、そういう方に読んでいただければと思います。

また、できるだけ英語学習が効率的になるように、という思いも込めていますから、お忙しいビジネスパーソンに手に取っていただけると嬉しいです。

——英語が上級者の方で、さらに英語力を上げたいという方でも本書は参考になりますか?

参考になると思います。最後の部分(Chapter3の「英語力マップ」)ですとか。上級者になればなるほど、ご自身では課題を見つけにくくなると思いますから、取り組むべきことを決定する目的でご活用いただければと思います。

——本書を制作する上で、一番印象に残っていることは何ですか?

マンガの登場人物が自分だったということですね(笑) 知らないうちに主人公・水島奈緒のモデルになっていたのでびっくりしました。
でも私は夜な夜なバーで英語ができない女の子をナンパしたりはしてません。実話ではありませんよ(笑)

著者である田畑さんについて

——英語に一番最初に触れたのはいつですか?

大抵の方と同じで、中学生の頃です。最初からなぜか英語は大好きで、得意でした。とはいっても、賢い進学校とかでもなく、普通の地元の公立の中学校でしたから、得意といってもたぶん大したことはなかったんでしょうけど……(笑)

——当時はどのように英語の学習をしましたか?

普通に学校の授業を受けて、あとは家に帰って教科書をずっと音読していました。最近は音声なども容易に手に入るので勉強しやすくなっていますが、当時は授業の中で聞くしかなかったので、授業の中でよく聞いて耳で覚えて、家に帰ってそれを思い出して声に出していました。それは本当に、ただ好きでやってましたね。

——初めて海外経験はいつですか?

最初の海外経験は中学生の頃でした。地元である京都の宇治市の中学生代表としてカナダの姉妹都市を訪問する機会を得て、現地にホームステイしました。

——その海外留学で英語が話せるようになりましたか?

いえいえ、一週間なので「楽しかったなぁ」くらいです(笑)

——その後は言語教育について研究をしていたようですが、英語がもともと好きだから大学院に進んで学ぼうと考えたのですか?

そうですね。高校生の頃などは漠然と「英語を使うグローバルな企業で働く」くらいに考えていました。大学の学部は国際関係で教育とは全く関係なかったのですが、実際に就職活動を始めた時に自分にはあまり向いていないと感じて方向転換したんです。
そこで、自分の武器になるものは何かな?と、もう一回考え直したんですよ。

自分が得意で、かつなるべく社会に貢献できるもののほうがハッピーだと思って。その軸でもう一度考え直しました。英語は得意で好きだったし、それを使って何かをするというよりは、それ自体を深めたほうがいいんじゃないかなとその時に思いました。

英語はもちろんですが、言語の仕組みにも興味があったので。それで4回生から英語の教職のための単位をとり始め、そのまま大学院に進むことにしました。ちょうど立命館大学には言語教育情報研究科というところがあり、良い先生がたくさんいらっしゃると聞いたので、受験しました。

——学生生活は遊ぶ時間が無いくらい忙しかったのでは?

すごく忙しかったですよ。 「学部生の頃は何やってたんだろう」と思うくらいです(笑) でも、一緒に英語教育を志す仲間もいて、刺激を受けながらたくさん学ぶことができたので、達成感はありました。

——スタディーハッカーではどのようなお仕事をされているのですか?また、受講生の方の指導もしていますか?

今は受講生の方に直接教えることはほとんどありません。職種でいえば経営企画みたいな感じなのですが、採用のことだったり、研修をする人の指導をしたりなどもします。

また、新しいサービスの開発も主な仕事のひとつです。予備校部門で提供する中高生に向けた新しいコースや教材の開発ですとか、ENGLISH COMPANYであれば社会人向けのサービス開発などですね。

——スタディーハッカーの立ち上げメンバーだと伺いました。創業当時はどのような感じだったのですか?

立ち上げたときは本当に何もなかったです。(笑) 創業メンバーは5人で、最初は場所もなかったので、マンションの一室みたいなところで立ち上げの準備をして……という感じでした。

私は大学院に通いながら並行して立ち上げの準備をしました。受験予備校から始めたのですが、最初は生徒が5人しかいませんでした。そこから徐々に生徒もスタッフも増え、拠点を増やしていきました。

——そこからENGLISH COMPANYを立ち上げたのはどういう経緯があったのですか?

スタディーハッカーを設立したのは2010年、ENGLISH COMPANYを立ち上げたのは2015年です。スタディーハッカーを設立して2年目に、東京に「学び舎東京」という予備校を出しました。

代表の岡が京都と東京を行ったり来たりしながら立ち上げや教室運営などをしていたのですが、岡は東京にいると英語のニーズが非常に高まっているという空気を感じたそうです。

電車に乗っていてもみんな英語の勉強をしていたり、英語の本を読んでいたりしていて。そんなことから大人向けの英語教育事業を計画することになりました。

予備校の方でも当時から英語を売りにしていたんです。『第二言語習得研究』をベースにした新しい勉強法で結果を出すということを押し出し、短期集中のコースなども高校生向けに展開しました。

本当に短期間で偏差値が20上がるなど大きな実績が出て、評判を得ることもできました。その時に「これを大人向けにやれば、もっと制約がない形でできる」と思ったのです。

というのも、受験の英語はやっぱりまだまだ制約が多いのです。たとえば、烏丸学び舎がある京都の、京都大学に行こうと思ったら、難解な英語を日本語に訳したり、逆に難解な日本語を英語にしたりといった、少し特殊なトレーニングをする必要があります。

一方で大人の場合であればそこまでのことは必要ありません。基本的にはビジネスで英語が使えるよう実践に近い形で英語学習をすすめることができるので、大人向けにすればもっと効果を実感してもらえて、喜んでもらえるのではと思いました。

そういった経緯でENGLISH COMPANYを東京の四谷に立ち上げました。当初から大きな反響をいただき、驚きましたね。

——専門性の高いトレーナーさんが多いようですが、そういった人材を見つけるのはやはり大変なのでしょうか?

簡単ではありません。でも、高い品質のためには専門性が重要だと考えていますから、その部分は譲れないと思っています。

幸いなことに、近年は応募者の中に大学などで専門的に言語習得などについて学んでこられたという方が増えてきましたので、少しずつ楽になった印象はあります。

——ENGLISH COMPANYさんで働くのは難しそうな気がします…

そう思っている方が多いようです。最近twitterなどを見ていると
「ENGLISH COMPANYで働きたいけど入れそうにない…」
「入りたいけど私の英語力で良いのかな…もう少し頑張ろう!」
などと投稿してくださる方がいらっしゃって、本当にそれでスキルを上げて入ってくださる方もいらっしゃるので、それがとても励みになります。
同時に、まだまだ質やレベルを上げていかなければならないと身が引き締まります。

——言語を専門的に学んできている人からすれば良い職場ですね。

自分が学んできたものを実際に活かせる場としてENGLISH COMPANYに入ってくださる方も増えました。そういった分野をそのまま活かせる会社は、実際のところ多くはありません。

私も初めは「言語が好きだからこれを勉強しよう」と思いましたが、仕事はどうするのかと言われたら「先生」しかないんですよね。私の周りの友達などもみんな先生になるか、もしくは外資系のような言語とは直接的な関係がない仕事をするかといった感じになっています。

なので、文系で大学院まで行ったような人たちが、そこで学んだことを実際に使える場を提供できていることに喜びを感じます。もちろん、私自身もこの環境にとても満足しています。

——ちなみに田畑様が今の職業に就いてなかったら、どんなお仕事をしていましたか?

京都にいたとき、出版や編集の仕事に就きたいと思った時期があって、編集社でインターンをしたことがあります。でもそこで、自分は向いてない、クリエイティブ志向ではないなと思いました。企画とか全然思いつけなくて(笑)

自分に何ができるのだろうと考えたとき、やはりできることをやったほうが自分も幸せですし、社会の役にも立つのかなとその時考えました。教育には携わっていると思うので、今の仕事をしていなかったら高校の英語の先生をやっていたでしょうね。

——ENGLISH COMPANYの今後の活動や目標などあれば教えてください。

なるべく多くの方にサービスを提供したいと思っているのですが、現在もずっと受講をお待ち頂いている状況が解消しなくて、トレーナーを増やしているところです。

それと同時にもちろん、サービスを今よりもっと良いものにしたいと考えています。それが一番大事ですね。

——最後に英語学習者へ向けて一言をお願いします。

英語の学習を始める前に自分の英語力向上にとって「何が問題なのか」ということを一度じっくり立ち止まって見つけるということ。この課題発見のステップをまずやってもらえれば、効率が大きく変わってくると思います。

単に人から聞いて良さそうなやり方ですとか、自分の好きなやり方を組み合わせてやるよりも、何を解決しないといけないのかという「課題発見」を重視すること。どんなことにでも同じように言えますが、課題を発見できれば、あとはそれに合った手段を選んでいくだけです。

「マンガでわかる最速最短!英語学習マップ」読後レビュー

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  • インタビュアー:岡田ティナ
  • インタビュー場所:株式会社スタディーハッカー 東京オフィス
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ライター(詳しいプロフィールを見る

10歳までをフィリピンで過ごした英語と日本語のバイリンガル。優れた英会話力を活かし、初心者が抱く英語の疑問を解消する「ペラペラ英語塾」の記事を担当。また、英会話スクールやオンライン英会話、英会話カフェ等を体験してのレビュー記事も担当しており、体験したサービスの数は30以上を数える。

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