「マンガでわかる最速最短!英語学習マップ」読後レビュー

2020年2月28日

ペラペラ

2018年12月19日、受講待ち600名超、入りたくても入れない英語パーソナルジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY(イングリッシュカンパニー)」より、「マンガでわかる 最速最短!英語学習マップ」という本が発売されました。

しかし、英語学習は長期戦。たった3ヶ月間ですべてが身につくほど簡単ではありません。そこで大切なことが「学習の習慣化」だと言います。

ENGLISH COMPANYでは「行動科学マネジメント」を取り入れることにより、3ヶ月間で英語学習の習慣化を狙います。つまり、そもそも上がり下がりのある「モチベーション」に頼ることなく、英語学習を「毎日の歯磨き」のレベルであたりまえにすることを狙うのです。短期集中型と聞くと、モチベーションをとにかく上げるということを意識するスクールが多い中、異色な考え方ですが、本質を突いているのではないでしょうか。

ENGLISH COMPANY・・・
受講者一人一人にトレーナーが付き、言語習得の科学『第二言語習得研究』をベースにした科学的な英語トレーニングを行うサービス。トレーニング期間は3ヶ月間と短く、その間で飛躍的に英語力を伸ばすことができる上、効果的な英語の学習法を身に着けることができます。

「最速最短!英語学習マップ」では、コーチング型英語スクールの代表的な存在であるENGLISH COMPANYが蓄積してきたノウハウをもとに、最速最短で英語を身に着けるために必要なことが書かれています。

「英語を身に着けたいけれど、どう勉強すればよいかわからない」

そんな人向けにこれまでも英語学習法を説明する本は数多くありました。しかし、第二言語習得研究をベースにしたアプローチで英語学習法を書籍化したのは「最速最短!英語学習マップ」が最初の一冊ではないでしょうか。

筆者も読んでみましたので、参考になればと思い、レビューを書かせていただきます。

マンガでありながら英語学習の本質をついた骨太な内容

「最速最短!英語学習マップ」のページ数はおよそ170ページですが、そのうち約60ページはマンガで残りが文章で書かれており、「文字数が多い本は苦手」という方でも読み進めやすくなっています。筆者も普段あまり本を読むタイプではなく、ビジネス書を購入しても最初の1ページ目を開くことがなかなかできないというタイプなのですが、「ちょっと読んでみようかな」とページを開いて一気に最後まで読んでしまいました。恐らく、最初から文章で「第二言語習得研究」と書かれていたら読まなかったかもしれません。

マンガは2部構成になっています。

1部

外資系企業に勤める主人公の上司がある日外国人になり、慌てて英語学習を始めるものの自分にあった学習法に出会えずドツボにハマります。そんな主人公が第二言語習得研究をベースとした学習法と出会い、TOEIC900点を実現するという物語。

2部

英語が話せないために同じ課で働く帰国子女にライバル心を持つ主人公が、英語学習のプロセスに沿って最短ルートで英語力を身に着けていくという物語。

ざっくり説明すると、1部では第二言語習得研究とはなにか、2部では英語学習にはプロセスがあり、自分の課題にあった学習が必要であることが描かれています。

3つのCHAPTERで問題提起から解決策、具体的な取り組みまで順序良く理解できる

「最速最短!英語学習マップ」は以下3つのCHAPTERで構成されています。

  1. CHAPTER 01 英語学習「絶対に避けたい」挫折パターン
  2. CHAPTER 02 英語は科学で必ず伸ばせる!
  3. CHAPTER 03 [フェーズ別]最速最短学習法

CHAPTER 01 英語学習「絶対に避けたい」挫折パターン

世の中には様々な英語学習法があります。英会話スクール、オンライン英会話、リスニング教材などなど。どの学習法が最強でどの方法はダメということはありませんが、自分の課題にあった学習法が正しく選択されなければ効果的ではありませんし、継続することも難しいでしょう。

これまでいくつかの英語学習法を試して挫折した経験のある人は、なぜその学習法で効果が出なかったのか、続かなかったのかがよく理解できるのではないでしょうか。

CHAPTER02 英語は科学で必ず伸ばせる!

なぜ第二言語習得研究をベースにした科学的トレーニングが英語力の向上に効果的なのかを説明した項目です。第二言語習得研究とは母語以外の言語をどのようなメカニズムで習得するかを研究している学問であり、効果的なトレーニング方法や取り組むべき順序など、様々なことが明らかになっています。

これまで、英会話スクールでネイティブ講師とたくさん話したり、リスニング教材を何十時間も聞いたけど効果を実感できなかったという経験がある人もいるかもしれません。それはその人の能力の問題ではなく、行っていたトレーニングが今抱えている課題に合っていなかったということ、そして自分の現在地を知り、課題にあったトレーニングをすることが大切だということがわかると思います。

CHAPTER 03 [フェーズ別]最速最短学習法

「最速最短!英語学習マップ」では、今の英語力がどのフェーズに位置しているか、そしてフェーズ別に取り組むべき学習法はなにかを「英語力マップ」として図解しています。

英語力マップの画像

例えば、フェーズ0(基本文法・基本語彙)の人がフェーズ1(ゆっくり読めば理解できる)になるにはどうしたらよいか?

まず、フェーズ0の状態は「中学・高校で勉強した英語の知識をほとんど忘れてしまっている状態」だと言います。この状態を解決するには、

  • 英語のコアイメージをつかみ、ネイティブに近い感覚で理解する
  • パターンプラクティスで、英文の意味を瞬時につかむ
  • 脳の記憶のメカニズムを活かして語彙を増やす
  • 単語は正しい発音と同時に覚える

といったことが必要であると書かれており、それぞれについてどう学べばよいかも具体的にわかりやすく説明されています。もちろん、フェーズ0~8まで、それぞれの状態・学習法が詳しく書かれていますので、英語初心者や中級者の方はもちろん、上級者の方でも多くの気づきを得られるのではないでしょうか。

言語習得のポイントは「アウトプット(話す・書く)」ではなく「インプット(読む・聞く)」

英語を身に着けようと考えて英会話スクールに通う人も多いと思いますが、一般的な英会話スクールで行うことはアウトプット(話す)です。しかし、前述した英語力マップにもあるように、アウトプットが効果的に作用するのはフェーズ6以降です。つまり、その手前の段階の人がアウトプットメインのトレーニングを行うことは第二言語習得的に言えば、あまり効果的ではないということになります。

では、なぜ多くの人がネイティブ講師との会話レッスン(アウトプット)から始めてしまうのか?それは「目的地が英語が話せるようになることであれば、話す練習をすればいい」という誤解があるからだと本書では述べています。

しかし最短で目的地に着くには現在地を知り、最短ルートを地図で確認し、一歩一歩足を前に出すこと以外にありません。いきなりゴールに行き着く方法などないのです。

楽して英語が身につくと謳う教材も少なくありませんが、このような英語学習の本質について正直に書かれている本は個人的に好感が持てます。

まとめ

英語の学習法に悩んでいる人にとってはおすすめできる良書です。しかし、レッスンや取材を通してENGLISH COMPANYの魅力をもっと深く知っている筆者からすると、少々物足りなさも感じたというのが正直な感想です。

ただし、これまで第二言語習得研究という学問の存在を知らなかった方や、色々な英語学習法をやみくもに試していたような方は、無駄なく短期間で英語を身に着けていただくためにも読むべき本だと言えます。

 

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著者情報

    • 作者:StudyHacker  ENGLISH COMPANY
    • 発行者:石塚明夫
    • 発行所:株式会社セブン&アイ出版
    • 作画:ナナトエリ
    • 発売日:2018/12/19
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ライター(詳しいプロフィールを見る

10歳までをフィリピンで過ごした英語と日本語のバイリンガル。優れた英会話力を活かし、初心者が抱く英語の疑問を解消する「ペラペラ英語塾」の記事を担当。また、英会話スクールやオンライン英会話、英会話カフェ等を体験してのレビュー記事も担当しており、体験したサービスの数は30以上を数える。

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