ペラペラ部編集部の中村です。
日本ではいよいよ2020年から小学校3年生より英語教育が始まります。5年生からは教科として英語の成績がつくことになりました。グローバル化に向けて日本の英語教育が大きく変わり始めています。
また、就学前から英語に触れる機会を取り入れている家庭がどんどん増えています。あなたが子どもだった頃は中学から英語を始めるのが当たり前だった時代。
「うちの子にはまだ早いんじゃないかな・・・」と思いつつも、周りを見ると「自分の子どもが置いていかれたらどうしよう」と心のどこかで引っかかっていませんか?
あなたが英語をペラペラに話せるのなら、子どもの英語教育についてあまり悩まずに済むかもしれません。でも、あなたが英語を話せない、英語が嫌い・苦手なら、イマイチ積極的になれないのも分かります。
どうにかしたいけれど、どうすればいいのか分からないあなたの気持ちを少しでもクリアにして差し上げたい!
そこで、ペラペラ部でおなじみアメリカ人のケビン・ジョーンズ先生に子どもの英語教育について聞いてきました!
ジョーンズ先生について
ジョーンズ先生はアメリカ人。日本の公立小中学校での英語教師として13年のキャリアがあります。
ジョーンズ先生が教師を目指すきっかけとなったのは、小学校4年生の担任の先生。当時のジョーンズ少年の可能性を引きだしてくれたそうです。
教えることが大好き、日本が大好きなジョーンズ先生から、子どもの英語教育への不安を和らげるメッセージをお届けします。
13年前と今の日本の英語教育の変化について
── ジョーンズ先生は日本で英語を教えて13年とのこと、13年前と今では英語体験に対する子どもたちの姿勢はどう変わりましたか?また、現場の日本人の先生の意識はどのように変わりましたか?
子どもたちは少なくとも13年前より英語の勉強やチャレンジに熱心だよ。今ではちゃんと学校で教わる必要があると子どもたちは分かっている。現場の先生に関して言及する立場ではないけれど、昔よりも先生たちは授業でクリティカルシンキング(論理的な思考。 多様な角度から検討し、論理的・客観的に理解すること)を実践したがっているし、実際できていると感じるよ。
2020年スタートの英語教育についての評価と今後の課題
── 来年から小学校での英語の授業が変わります。新しい指導要領に関して、評価できる点を教えてください。また、今後の課題についてもご意見をお聞かせください。
多くの都市ですでに変化が出ているよ。この変化は日本の教育システムにとってとても良いし、かなり進歩的。クリティカルシンキング(論理的思考)にフォーカスしていたり、歌を習ったりなどのために教室で動画などマルチメディアの使用が増えていたり。将来の課題は難しいけれど、最大限の効果を発揮できるよう、こうした変化を日本の先生たちが前向きに受け入れることかな。
子どものときに大切な「英語でのよい経験」とは?
── 子どもたちに英語を教えるとき、ジョーンズ先生が一番大切にしていることは何ですか。また、それはなぜですか?
子どもたちに英語で良い経験をしてもらうこと。その経験とは、ゲームをすることから自分のことを表現することまで何でもあり得るよ。良い経験をすることは自分自身を成長させ続けることにつながるからね。
── 「よい経験」をもう少し具体的に教えて下さい。 例えば、経験したことがすべて楽しいとは限りません。上手く自分自身のことを表現できなくて、失敗したり、恥ずかしいと思ったりすることがあるかもしれません。このような場合、子どもたちが良い経験として受けられるようにどのような工夫をしていますか?
子どもたちをテンパらせないように注意すること。1時間の授業で小さな目標を達成できるような方法を用意するんだ。みんながこの目標を達成できることを願ってね。たとえば、「私は~が好きです」という表現をはじめて教えるときは、子どもたちが意味を理解できるようにすること、ひとつの話題だけにしてあげること。「フルーツ」とか「食べ物」のようにね。そうすれば、自信がない子どもたちでも授業についていくことができるし、目標を達成することができるはず。
言語を習得することの価値とは?
── 言語を学ぶ価値はどんなところにあると思いますか?
言語の価値というのは、物事に対して多面的で本質的な思考で向き合えること。他の学問にはないことだよね。例えば数学や科学では1つの正しい答えを引き出すために1つの数式を使う。でも、英語やその他の言語で文を作る場合、正しい答えを引き出す方法はたくさんあるんだ。これは生活のいろいろな面で僕らを助けてくれるし、職場、学校、人生の問題に取り組むときに、違った手段を考えるように気づかせてくれる。
ぶっちゃけ、いつ子どもの英語を始めるといいの?
── 子どもを将来バイリンガルにしたい場合、英語学習はいつ始めるのが最適ですか?また、その理由を教えてください。
どうかな、最適なタイミングがあるかどうか分からない。子どもはみんな違うし、子どもの置かれている環境も違う。 でも、早ければ早いほどいい。英語の音に慣れるという意味では2歳から3歳を勧めるね。とはいえ、小さい頃から10年間英語学習にお金をかけるのは経済的に難しいかもしれない。そうであれば、公共教育で引き受けてもらうのが賢明だね。
英語を話せない親が子どもの英語教育で気を付けることは何?
── 幼児の英語学習で、英語が話せない親が気を付けなくてはいけないことは何ですか?
親ができることは、子どもを勇気づけ、子どもと一緒に学ぶことを決心して積極的になること。ネイティブの先生はもちろん英語をきちんと話すことができるから、子どもにとってはパーフェクトだよ。でも、子どもたちには日本人のモデルも必要なんだ。お母さんやお父さんたちが、自分の理解できない言葉(英語)で話すことに困っている姿を子どもが見ることは恥ずかしいことでもなんでもない。むしろ、そうした親の姿を見ることは子どもの中の恐れや不信感を晴らすのに役立つよ。それに、子どもたちが新しく学んできたことを、英語に興味がある親に教えるというのは、子どもたちを本当に刺激するよ。だから、僕の意見では、「親が積極的であること」が大事だね。
ジョーンズ先生、ありがとうございました!
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まとめ
以上、アメリカ人英語教師ケビン・ジョーンズ先生の子どもの英語教育についてお届けしました。
ジョーンズ先生のお話では13年前では生徒の学ぶ姿勢、教師の取り組みが前向きに変化しているとのことでした。また、ついていけない生徒が出ないように、教師は慎重に工夫を凝らしている様子も伝わりました。
こうした変化や工夫は家庭には伝わりにくいことかもしれません。しかし、現場では確実に変わり始めているのです。「どうせ日本の英語教育はダメに決まっている」と決めつけ目をそらすのではなく、子どもの英語教育のアンテナを積極的に張るといいですね。
また、バイリンガルにするための最適な英語教育開始のタイミングは、英語の音に慣れるという観点からは2~3歳がいいとのことでした。しかし、同時に「子どもはみんな違うし、置かれている環境が違う。早く始めれば、それだけお金を払う期間も長くなる」とのことでした。
最適なタイミングというのは人それぞれ。無理のない範囲で英語教育を計画しましょう。編集部としては、将来的に就学前の英語教育補助が出ることを期待したいところです。
そして、ペラペラ部編集部が今回のジョーンズ先生のメッセージからあなたに一番伝えたいこと。
それは、あなた自身が子どもの英語教育に積極的に関わると決心することです。
何歳から始めるのか、どんな教材や教室がいいのか、どんな先生がいいのか、つい先走って考えがち。でも、それよりあなたの心構えを決める方が先です。
ペラペラ部では先日、12歳以下の子どもを持つ保護者200人に対して、英語教育についてのアンケートを実施しました。その中で約半数の保護者が「子どもと一緒に英語の勉強をしている」と答え、そのうち25%の保護者がその理由を「一緒に勉強した方が楽しいと思ったから」としています。
この意外で積極的な回答にペラペラ部編集部は大変嬉しくなりました。語学力だけでなく、「子どもと学びの時間を楽しく共有したい」という気持ちは、ジョーンズ先生の言う「英語での良い経験」になりますね。
確かに、アンケートでは「自分は英語が得意でないから、一緒にやるのは逆効果、恥ずかしいい」「自分は英語が苦手だから子どもに英語を教えられない」という保護者の意見も少なからずありました。でも、だからこそ、ぜひ今、小さな一歩を踏み出してほしいのです。
ジョーンズ先生は言いました。「ネイティブの先生はもちろん英語をきちんと話すことができるから、子どもにとってはパーフェクトだよ。でも、子どもたちには日本人のモデルも必要なんだ。お母さんやお父さんたちが、自分の理解できない言葉(英語)で話すことに困っている姿を子どもが見ることは恥ずかしいことでもなんでもない。むしろ、そうした親の姿を見ることは子どもの中の恐れやや不信感を晴らすのに役立つよ。」
あなたが英語を教える必要はないのです。お子さんの前で上手く英語の発音ができなくても、文法ができなくてもいいのです。お子さんと同じ目線で、できることからコツコツやっていきましょう。
お子さんの英語の教科書をまずは開くだけでもいいですね。学校で教わってきた英語の授業の内容を聞いて、お子さんから教えてもらうのもいいでしょう。
毎日本当に忙しい。気に掛けなくてはいけないことは英語だけではない。でも、最初はたった3分だけでもいいのです。少しつずつお子さんと一緒に英語の関わりを積み上げていってください。あなたが積極的に関わろうと決めた瞬間、お子さんの英語教育はスタートするのです。
言語を学ぶ価値は「物事に対して多面的で本質的な思考で向き合えること」だとジョーンズ先生は言いました。言語を使うことで正しい答えを導く方法がたくさん得られるのです。
日本語以外の外国語を学ぶと、日本人とは違った意見や思考を持つ世界中の人たちと触れ合うことができます。つまり、それはあなたの子どもが日本人としての思考を超え、人生で大切な答えを見つけるチャンスに恵まれることを意味するのです。
その可能性をぜひ、あなたからお子さんに届けてくださいね。
“Being active is important.” By Mr. Kevin Jones
英語落ちこぼれ中学時代を過ごしました。「魔女の宅急便」に憧れて「外国に住みたい!」と思うようになり、高校時代は英語を猛勉強。その後アメリカ ウィスコンシン州に留学。商社、メーカーでの貿易業を経てライターに。微妙なニュアンスやイメージが分かりやすい記事をお届けします。
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