慶應義塾大学文学部英米文学専攻卒業。関東・東海地方の複数の予備校を経て、リクルートが主催するネット講義サービス「スタディサプリ」で教鞭をとる。「英文読解」の講座は年間25万人が受講する超人気講座となっている。『肘井学の作文のための英文法が面白いほどわかる本』、『語源とマンガで英単語が面白いほど覚えられる本』をはじめ著書も多数執筆。
英語で「証拠・証言」を表す表現として、evidence とproof という2つの単語があります。
どちらも「何かを証明するための物質や言葉」を表す言葉として使われますが、それぞれの違いを理解していない人が多く見られます。
例えば、「DNAの検査結果が彼女と彼が姉弟である何よりの証拠です。」を英語で言いたい場合、以下2つのどちらが正しいかわかりますか?
- The result of DNA test is the proof to confirm the fact that she and he are siblings each other.
- The result of DNA test is the evidence to confirm the fact that she and he are siblings each other.
正解は1の「The result of DNA test is the proof to confirm the fact that she and he are siblings each other」です。
proofは決定的な証拠、誰にも変えられない証拠を言い表す場合に使います。例えば、DNAやクレジットカードの記録、領収書などです。
evidenceはproofと比べると資料という意味合いが強いです。それ一つだと、なかなか証明は難しいが、大切な証拠の一部であるニュアンスです。
例文の場合「DNAの検査結果が彼女と彼が姉弟である何よりの証拠です。」と言っており、DNAの検査結果について話しています。従って、proofがよりふさわしいです。
基本的にどちらを使っても間違いではないですが、それぞれの持つニュアンスを理解して覚えておくことで、会話の中でより正確な情報伝達をすることができます。
今回は、日本人が意外と知らないevidenceとproofの違いを説明するとともに、正しい使い方についてもレッスンしていきましょう。
また、evidenceとproof以外の「証拠」という意味に似ている単語についてもいくつかご紹介していきます。
evidenceとproofの違い
evidenceは、何かを立証するために使われる資料というニュアンスです。
集めれば強力になるかもしれませんが、1つや2つでは相手を納得させることは難しいです。
proofは、evidenceとは違って動かしたり変えることが出来ない決定的な証拠を指します。
それを突き出せば、誰も何も言えなくなってしまう、それほど確実な証拠を指すときに使われる言葉です。
evidenceの使い方
evidenceの使い方について、例文を使って説明します。
たくさんの証拠を集めてから、ビジネスプランについてブラウンさんを説得しに行こう。
その証拠は十分とは言えない。
それらの全ての証拠にも関わらず、ナンシーは責任ある大人として処理された。
proofの使い方
proofの使い方について、例文を使って説明します。
河童が実在する証拠はない。
刑事はこのミステリーを解決するたった1つの証拠を必要としている。
彼らは容疑者を逮捕したが、犯罪への彼の関与の決定的な証拠なしでは牢屋に入れることは出来なかった。
使い分けの感覚を掴むコツ
証拠ではあるが、確実にその事象を裏付けるには十分ではないものは“evidence”を使います。
何かを証明するには、それだけあれば十分だと言えるほど決定的な証拠のことを“proof”と言います。
理解度チェックテスト
それではここで、evidenceとproofを正しく使い分けることができるかいくつかテストをしましょう。
英文の中の(カッコ)には、evidenceとproofのどちらかが入ります。正しいと思うものを入れてみてください。
答えは記事の最後にあります。
- That phenomenon is the ( ) concluding that my thesis is right.
その現象は、私の論文が正しいことを結論付けている証拠です。 - I need one more ( ) to convince her that the restaurant is delicious.
そのレストランが美味しいことを彼女に証明するためにもっと証拠が必要です。 - DNA is a ( ) which nobody can change.
DNAは誰にも動かせない証拠です。 - Unless you have enough ( ), you’ll be rejected even in front of the police station.
十分な証拠がない限り、警察署の前にいたとしても追い返されますよ。 - Yes!! Now, I got three ( ) to prove my idea!
やった!今私の考えが証明するための3つの証拠が集まった。
「証拠」を表すその他の英単語
「証拠」を表す単語は、evidenceとproof以外にもあります。
それらの単語がどのように使われるのか、例文を使って説明します。
data
dataは、日本語でもあるようにそのまま「データ」という意味です。
ただ、データは1つよりも、たくさんあった方が有利になる傾向が強いのでevidenceにより近いです。
(日本人が英語をどう習得するかを説明するためのデータはたくさんあります。)
(この現象を証明するのに十分なデータを君が持っている限り、教授は君にAという成績をくれるよ。)
information
informationは「情報」を指す言葉です。
evidenceやproofよりは「証拠」という強い意味は持ちませんが、evidenceやdataと同様たくさんあればあるほど強い証明になります。
(もっとたくさんの情報が必要だ。)
(その情報が本当か嘘かに関わらず、今日の若者はたくさんの情報をSNS上で得ることが出来ます。)
(親は子供のインターネットの使用量を制御する必要があります。でないと、情報過多が子供を傷つけるかもしれません。)
まとめ
今回は、evidenceとproofの違いとそれ以外の「証拠」という単語についてもお話ししてきました。
以下おさらいです。
- evidence=必ずしも事実を裏付けるわけではないが、あった方が有利になる資料や証言。
- proof=誰にも変えることが出来ない、決定的な証拠。
それぞれの意味を理解して使い分けることで、状況を判断しながら失礼のない言葉を選ぶことが可能になります。
前項の例文などで練習をしながら感覚を身につけていきましょう。Good Luck!
テストの答え
- proof
この文の和訳は、「その現象が私の理論を証明した( )である。」という和訳になります。つまり、その現象1つで証明できたことになるので、決定的な証拠という意味の“proof”がふさわしいです。 - evidence
「たくさん必要である」という表記がされているので、“evidence”がより正しい言葉になります。 - proof
“DNA”という言葉が含まれているので、誰にも変えられない証拠という意味の“proof”が当てはまります。 - evidence
“enough”という英単語が使われているときは、“evidence”を使うのが自然です。したがって、当てはまるのは“evidence”になります。 - evidence
“three”という物体や物質が複数形であることを示す言葉が前に付いているので、“evidence”がふさわしいです。
ライター(詳しいプロフィールを見る)
10歳までをフィリピンで過ごした英語と日本語のバイリンガル。優れた英会話力を活かし、初心者が抱く英語の疑問を解消する「ペラペラ英語塾」の記事を担当。また、英会話スクールやオンライン英会話、英会話カフェ等を体験してのレビュー記事も担当しており、体験したサービスの数は30以上を数える。
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