埼玉県立越谷北高校を卒業後、上智大学文学部英文学科に進む。卒業後は、ガイド通訳士、東進ハイスクール講師、進学の名門・県立浦和高校などを経て現在は作家・文筆業に専念。シリーズ累計70万部突破の「(続)英単語の語源図鑑」、シリーズ40万部突破の「英会話1秒レッスン」、累計10万部突破の「新編集、語源とイラストで一気に覚える英単語」など多数の著作がある。
英語で「馬鹿」を表す場合、stupidとidiotの2つの表現があります。どちらも同じ意味ですが、これらのちょっとしたニュアンスの違いを理解していない人が多く見られます。
例えば、「それは愚かな間違いです」を英語に変換したい場合、以下2つのどちらが正しいかわかりますか?
- That is a stupid mistake.
- That is a idiot mistake.
正解は1の「That is a stupid mistake.」です。
stupidは「愚かな・馬鹿げた・物事の判断力や理解力に欠けている人の」様子を表す形容詞です。
この場合、”愚かな間違い”というのは”馬鹿げている間違い(行動)”を表しているのでstupidを使います。
idiotはstupidと同じ意味ですが、「愚か者」「馬鹿者」のように指す対象は”人”に限定する表現なので、ここで使うと英語表現が成り立たなくなってしまいます。
このように同じ「馬鹿」という意味の単語でも、間違った使い方をすると相手を不快にさせてしまうことがあるので、それぞれの異なるニュアンスや正しい使い方を理解する必要があります。
今回は、そんな日本人が意外と知らないstupidとidiotの違いを説明するとともに、正しい使い方についてもレッスンしていきましょう。
また、stupidとidiot以外の「馬鹿」という表現に似ている単語についてもお話ししていきます。
stupidとidiotの違い
stupidとidiotの違いは、「馬鹿」を指す対象が人に限定されるかそうでないかです。
stupidは、(人を苛立たせる)愚かさ・判断力や理解力に欠けている人の様子を表します。また、行動・発言・判断そのものなどを形容する際にも使われます。
idiotは、馬鹿・まぬけ・白痴などと言った意味あり、指す対象は”人”に限定されます。
例えば、「あなたは馬鹿です」「私は馬鹿です」などを言いたい場合はidiotを使って表します。
stupidの使い方
stupidの使い方について、例文を使って説明します。
「この忌々しい携帯電話は動きません」
「馬鹿なことはやめてください!」
「私は頭悪い人が苦手です」
idiotの使い方
idiotの使い方について、例文を使って説明します。
「彼女は折り紙つきの馬鹿である」
「私は世間で言うアホです」
「私はあなたに馬鹿にされている感じがします」
理解度チェックテスト
それではここで、stupidとidiotを正しく使い分けることができるか、いくつかテストをしましょう。
以下の英文の(カッコ)の中には、stupidかidiotのどちらかが入ります。正しいと思うものを入れてみてください。
答えは記事の最後にあります。
- It’s ( )to read letters like that.
そんな手紙を読むのは馬鹿げている。 - Irony is wasted on the ( ).
皮肉は愚か者に通じません。 - My younger brother must be such an ( ).
私の弟はなんで馬鹿なのでしょう。 - He always cheat with ( )techniques.
彼は常に馬鹿な方法で不正行為をします。 - I was tired to play the ( ).
私は馬鹿な振りをするのが疲れました。
「バカ」という表現に似ている英単語
「馬鹿」という意味の単語はstupidとidiot以外にもあります。それらがどのように使用されるのか、馬鹿さの度合い順で例文を使って説明します。
silly(☆)
sillyは、馬鹿さの度合いが最も低い「愚かな」「馬鹿な」という意味です。日本語で言う「お馬鹿さん」「アホ」などに近い、どちらかというと親しみを込めて、友人や家族に対して使われることが多い表現です。
以下のように使われます。
foolish(☆☆)
foolishは、常識や良識が欠けている・知能が足りない「馬鹿な」「愚かな」などと言った意味です。日本語で言う「頭が悪い」と同じニュアンスであり、冗談を言う場合によく使われる表現です。
以下のように使われます。
jerk(☆☆☆)
jerkは、間抜け・無神経・気が障る・自分勝手に動く人などを指す「馬鹿」という意味です。日本語でいう「ムカつく奴」と同じニュアンスであり、英語圏では非常に下品な表現として使われます。
以下のように使われます。
dumb(☆☆☆☆)
dumbは、頭の回転が遅い・口の聞けない・のろまな人を指す「馬鹿」という意味です。日本語で言う「トロくて鈍い人」というニュアンスと同じですが、英語圏では基本的にひどい差別用語・侮蔑用語として使われる表現です。
以下のように使われます。
moron(☆☆☆☆☆)
moronは、知恵遅れ・精神年齢が8歳~12歳レベルの成人を表す「馬鹿」という意味です。日本語で言う「低能」というニュアンスと同じであり、こちらも英語圏では相当ひどい差別用語・侮蔑用語として使われる表現です。
以下のように使われます。
まとめ
今回はstupidとidiotの違いやそれ以外の「馬鹿」を表す表現についてもお話ししてきました。 おさらいしますと、
- stupid=(人を苛立たせる)愚かさ・判断力や理解力に欠けている人の様子
- idiot=馬鹿・まぬけ・白痴などと言った人そのもの
を表します。stupidもidiotもまったく同じ意味で口語的です。どちらもその「馬鹿さの度合い」は非常に高いことを表すのであまり気軽に使用しない方が無難ですが、理解しておくくらいが良いかと思います。
テストの答え
- stupid ”読むのは馬鹿げている”は行動を指しているのでstupidを使います。
- stupid ”愚か者に通じない”は行動を表すのでstupidを使います。
- idiot ”弟は馬鹿”は人を指しているのでidiotを使います。
- stupid ”馬鹿げた方法”は行動を指しているのでstupidを使います。
- idiot ”馬鹿な振り”をしているのは”人(自分)”なのでidiotを使います。
ライター(詳しいプロフィールを見る)
10歳までをフィリピンで過ごした英語と日本語のバイリンガル。優れた英会話力を活かし、初心者が抱く英語の疑問を解消する「ペラペラ英語塾」の記事を担当。また、英会話スクールやオンライン英会話、英会話カフェ等を体験してのレビュー記事も担当しており、体験したサービスの数は30以上を数える。
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