慶應義塾大学文学部英米文学専攻卒業。関東・東海地方の複数の予備校を経て、リクルートが主催するネット講義サービス「スタディサプリ」で教鞭をとる。「英文読解」の講座は年間25万人が受講する超人気講座となっている。『肘井学の作文のための英文法が面白いほどわかる本』、『語源とマンガで英単語が面白いほど覚えられる本』をはじめ著書も多数執筆。
英語で「病院」を表す言葉として、「hospital」と「clinic」という単語があります。これは、中学1年の英語で習う名詞でほとんど同じような意味ですが、それぞれの正しい使い方を理解していない人が多く見られます。
例えば、風邪を引いていて顔色が優れない友人に「病院に行った方がいいよ!」と言いたい場合、以下2つのどちらが適切かわかりますか?
- You’d better go to a hospital.
- You’d better go to a clinic.
正解は2の「You’d better go to a clinic.」です。
英語圏では、hospitalは入院・手術が必要な人が行く大きな医療施設を表します。
したがって、ここで1の「You’d better go to a hospital.」と言うとネイティブからすれば「そこまで重症じゃない!」と思われるので、奇妙なアドバイスだととらえられることがあります。
このように、相手を心配して言った言葉でも誤解を招きかねない場合もあるので、これらをしっかり理解して正しく使い分けることが必要です。
今回は、そんな日本人にとって紛らわしいhospitalとclinicの違いについて説明するとともに、正しい使い方についてもレッスンしていきましょう。
hospitalとclinicの違い
hospitalとclinicの違いは、医療機関の機能と役割です。
hospitalは、長期間の治療(入院)や手術を必要とする人が利用する複数の診療科を持つ「大きな医療施設」を指します。
一方、clinicは皮膚科や内科などといった特定の医療を行ってくれる「小さな医療施設」を指します。
hospitalの使い方
hospitalの使い方について、例文を使って説明します。
「総合病院はどこですか?」と聞きたい場合
「入院中の母に会いに行きます」と言いたい場合
「その病院は、緊急患者を引き受けます」と言いたい場合
clinicの使い方
clinicの使い方について、例文を使って説明します。
「これから歯医者(歯科医院)に行きます」と言いたい場合
「内科(診療所)の予約を取ります」と言いたい場合
「彼女は小児科医院で看護師として働いている」と言いたい場合
使い分けの感覚を掴むコツ
hospitalとclinicの使い分けの感覚を掴むコツとして相応しい例文があります。
Her cold was not getting better at that clinic,so she decided to go to the general hospital.
この英文の「彼女の風邪はその診療所では治らなかったので、総合病院に行くことにしました。」という意味です。
風邪を引いた場合、初めに行くのは内科などの特定の治療を行ってくれる”診療所”なのでここはclinicと表します。
clinicでは風邪を治すことが出来なかったので、「もっと精密に検査してもらえる(複数の治療を行ってくれる)総合病院に行くことにした」となっているのでここではhospitalと表します。
理解度チェックテスト
それではここで、hospitalとclinicを正しく使い分けることが出来るか、いくつかテストしましょう。
以下の英文の(カッコ)の中にはhospitalとclinicのどちらかが入ります。正しいと思うものを入れてみてください。
答えは記事の最後にあります。
- When did her mother go to the ( )?
彼女の母はいつ入院したのですか? - When I catch a cold, I always go to the ( ).
私は風邪を引くと、いつもその内科に行きます。 - She runs her ( )in Tachikawa.
彼女は立川で診療所を経営している。 - He was taken by ambulance to a local ( ).
彼は救急車で地元の病院に搬送された。 - You should disinfect a( )room.
病室を消毒すべきだ。
まとめ
今回は、hospitalとclinicの違いや正しい使い方について説明してきました。
hospitalとclinicをおさらいしますと、
- hospital=複数の診療科を持つ「大きな医療施設」
- clinic=特定の医療を行ってくれる「小さな医療施設」
です。
これらを正しく理解することで、病気や怪我をしたときにどこの医療機関で診療してもらうべきかが明確に分かるようになります。
テストの答え
- hospital
- clinic
- clinic
- hospital
- hospital
ライター(詳しいプロフィールを見る)
10歳までをフィリピンで過ごした英語と日本語のバイリンガル。優れた英会話力を活かし、初心者が抱く英語の疑問を解消する「ペラペラ英語塾」の記事を担当。また、英会話スクールやオンライン英会話、英会話カフェ等を体験してのレビュー記事も担当しており、体験したサービスの数は30以上を数える。
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