慶應義塾大学文学部英米文学専攻卒業。関東・東海地方の複数の予備校を経て、リクルートが主催するネット講義サービス「スタディサプリ」で教鞭をとる。「英文読解」の講座は年間25万人が受講する超人気講座となっている。『肘井学の作文のための英文法が面白いほどわかる本』、『語源とマンガで英単語が面白いほど覚えられる本』をはじめ著書も多数執筆。
英語で「嵐」を表す表現として、storm と tempest という2つの単語があります。
どちらも嵐のように強い雨風や雷雨のような天候、または嵐そのものを表す言葉として使われますが、それぞれの違いを理解していない人が多く見られます。
例えば、「日本は昨日、嵐に見舞われた。」を英語で言いたい場合、以下2つのどちらが正しいかわかりますか?
- Japan was hit by the storm yesterday.
- Japan was hit by the tempest yesterday.
正解は1の「Japan was hit by the storm yesterday.」です。
stormはとても強い雨風や雷雨、大雪を伴う強風など悪天候を言い表すのに使われる言葉です。
一方、tempestはstormよりもっと強い大嵐を指すときに使います。
tempestは主に、物語中での情景描写で比喩表現として使われるような文学的な言葉で、口語ではあまり使われません。
例文の場合、会話の中で悪天候であったことが話題になっていることが予想出来ます。したがってここでは「storm」を使うのが適切です。
基本的にどちらを使っても間違いではないですが、それぞれの持つニュアンスを理解して覚えておくことで、今はもう使われない言葉や日常会話では使われない言葉かどうかを判断できるようになります。
今回は、日本人が意外と知らないstormとtempestの違いを説明するとともに、正しい使い方についてもレッスンしていきましょう。
また、stormとtempest以外の「嵐」という単語についてもいくつかご紹介していきます。
storm とtempestの違い
stormは、暴風雨や雷雨、大雪の天候など、嵐そのもの以外にも悪天候であればその情景描写のために使われます。「嵐」の意味で、最も一般的使われる言葉です。
tempestは、stormよりも物語に使われるような文学的な表現なので、日常会話には出てくることは滅多にありません。また、stormと比べてもっと悲惨な大嵐のことを指します。
stormの使い方
stormの使い方について、例文を使って説明します。
昨日はすごく大きな嵐があった。
このアニメは日本にブームをもたらした。
この辺の地域の人々は、去年と同じ大きさの嵐が来るのに覚悟ができている。
tempestの使い方
tempestの使い方について、例文を使って説明します。
客同士のあの喧嘩はまるで悲惨な嵐のようだった。
この絵はアーティストの激情を反映している。
母が怒ると、大嵐のようになるよ。
使い分けの感覚を掴むコツ
通常の天候を表す嵐や暴風雨の場合は“storm”を使います。
反対に、比喩表現として誰かの逆鱗や悲惨な喧嘩を表す時や、けが人や死者が出るような嵐よりももっとひどい天候を表す時は、”tempest”を使います。
理解度チェックテスト
それではここで、storm と tempestを正しく使い分けることができるかいくつかテストをしましょう。
英文の中の(カッコ)には、stormとtempestのどちらかが入ります。正しいと思うものを入れてみてください。
答えは記事の最後にあります。
- Yesterday, Tokyo had a ( ) .
- It’s been a while to have such a huge ( ) around this area.
- My dad was mad at me because I was late coming back home. It was like a ( ) .
- The ( ) swept Kanto region.
- Tapioca drink took Japan by ( ) .
「嵐」を表すその他の英単語
「嵐」を表す単語は、effortとendeavor以外にもあります。
それらの単語がどのように使われるのか、例文を使って説明します。
hurricane
hurricaneとは、台風とほぼ同じで強い雨と風が混ざり合った悪天候を指します。
blizzard
blizzardは、猛吹雪を指します。hurricane や storm と同様に悪天候を意味します。以下のように使われます。
まとめ
今回は、stormとtempestの違いとそれ以外の「嵐」という単語についてもお話ししてきました。
以下おさらいです。
- storm=一般的に使われる、嵐の天候やそれ以外の暴風雨や雷雨を表す言葉。
- tempest=もう日常会話ではあまり使われない、嵐よりもひどい大嵐を表す言葉。
それぞれの意味を理解して使い分けることで、より明確な情景描写をすることが可能になります。
前項の例文などで練習をしながら感覚を身につけていきましょう。Good Luck!
テストの答え
- storm
昨日東京で起きた1年ぶりことについて話しているので、stormがふさわしいです。 - storm
久しぶりにこんな大きな何かに見舞われるということ言っているので、stormがふさわしいです。 - tempest
家に遅く帰って来た私に対する父の怒りを比喩的に表現しているので、tempestがふさわしいです。 - tempest
storm
タピオカブームについて話しています。「take〜by storm」で「〜にブームを起こす」という意味になるのでstormがふさわしいです。
ライター(詳しいプロフィールを見る)
10歳までをフィリピンで過ごした英語と日本語のバイリンガル。優れた英会話力を活かし、初心者が抱く英語の疑問を解消する「ペラペラ英語塾」の記事を担当。また、英会話スクールやオンライン英会話、英会話カフェ等を体験してのレビュー記事も担当しており、体験したサービスの数は30以上を数える。
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